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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】信仰と疑いの中で見つけた人間性の深遠な探求 遠藤周作『沈黙』

今日は「沈黙」についての最近の読書体験を共有したいと思います。これは遠藤周作の代表作で、17世紀の日本でのキリスト教徒の迫害を描いた作品です。信仰と疑い、神の存在と沈黙、そして人間の苦悩について深く考えさせられる作品で、世界的に高く評価されています。

私自身、この物語を読むことで、中学生の頃に社会科の授業で習ったキリスト教徒の迫害について再認識することができました。学校の教科書で習った事実が、遠藤周作の力強いストーリーテリングと結びつき、より深い理解につながりました。

また、「沈黙」は読者に対して自己反省の機会を与える作品でもあります。主人公ロドリゲスの苦悩や迷いは、私たち自身の人間性、特に自己保存の本能や狡猾さといった一見否定的な特性を映し出す鏡のようです。物語の中で登場する密告者の存在は、私たちが自身の弱さや二面性について考え、共感する機会を提供してくれます。

「沈黙」を通じて、我々は人間の脆弱さや欠点、そしてその克服の可能性について考えさせられます。物語は、自分が同じ状況に立たされたらどう行動するのか、自分自身の弱さや信念について深く思い巡らす機会を提供します。それは時に厳しいかもしれませんが、自己理解と成長への道を開く貴重な経験となります。

とても心に響く作品だったので、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいと思います。「沈黙」は、信仰、疑い、人間の苦悩、そして神の沈黙といった深遠なテーマを巧みに絡め取った作品で、一読する価値のある名作です。