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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】恋愛偏差値上昇のための参考書『愛とためらいの哲学』

アドラー心理学を書いたベストセラー『嫌われる勇気』の著者、岸見一郎が、心理学者フロムやアドラーなどの著書を用いながら「成熟した愛」「どう愛するか」を解説した本である。
人によってはガツンと心が痛くなりながら読む本だろう。恋愛偏差値が高めの人はそんなに痛まないかもしれない。自分はどう感じるか、リトマス試験紙的にも使えるかもしれない。

本書の言う成熟した愛は、一言でいって与える愛である。
“未成熟な愛は『あなたが必要だから、あなたを愛する』と言い、成熟した愛は『あなたを愛しているから、あなたが必要だ』と言う”(フロム『愛するということ』から引用)
条件付の゙与えられる愛ではなく、無条件な親から子への愛情のような愛。本書によれば、相手が自分をどう思っていようが愛せる人には、本来失恋すら存在しないのだそうだ。

そしてアドラー心理学ではお馴染み「課題の分離」論。動物を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることは出来ないのと同じように、相手が自分を愛するかは相手の課題であり自分には決定権がなく、自分の課題とは切り離さなければならないということだ。
このことは当たり前のようだが、人間関係の悩みを解決する強力なフレーズでもあるだろう。

 このように成熟した愛、言い換えれば隣人愛に近い概念を貫き、愛されるよりどう愛するか、を読み解いた本書。恋愛や結婚に限らず「人間の悩みは全て人間関係の悩みである」とアドラーもいっている。人間関係を良くし、現在を賢く生きるにはどうすればよいか、自分自身を鏡に映したように探ることのできる本である。

発行所 ㈱PHP新書
著者  岸見一郎
製作日 2022.6.6