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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】未来をも生成するAI。『生成AI 社会を激変させるAIの創造力』

著者の肩書きは新サービス探検家だそうだ。IT業界で仕事をしながら、夏の雑草のように登場する新サービスの中で、将来性を感じるものについて調べてみたことを書籍としてまとめていることを指したものだ。
本書は、「ChatGPT」や「Stable Diffusion」といった、「生成AI(Generative Artificial Intelligence)」についての解説本である。AIチェスや画像認識といった、大量なデータの中から適切な選択をするこれまでのAI(Discriminative AI:認識系AI/識別系AI)のレベルを超えた生成AIは、学習を元に利用者の指示を受けて新たなコンテンツを生成する。それは文章に限らず画像すら生み出し、アートコンテストでAIが描いたものが1位を獲得する事例も既に起きているのだ。
これからの社会では、生成AIがあっての上での生き方を求められるだろう。
例えば、レポートやプレゼン資料、小説といったテキスト作成。我々人間の役目は、ドキュメントを作ることから、AIが作成したものをチェックすることにシフトするだろう。
かつて、AppleiPhoneを世に送り出したことで、メディアも広告もゲームもカメラも音楽もその有り様を劇的に変化させた様に、生成AIは世の中の常識を覆すであろう。破壊的イノベーションを起こして、創造をもたらすのである。
そこにはビジネスチャンスも生まれる。であれば、生成AIを理解して、そのチャンスを掴もうではないか。

本書ではまず、AI発展の歴史を辿り、70年もの歳月を経たAIが現時点で出来ること、どの様な点が優れているのかの具体例の提示とその解説を行なう。
その他には、生成AIの仕組み、将来どの様な変化が予想されるのかの考察、生成AIが引き起こす問題点についても論じ、また、今後の社会の変化及び、未来を予想する。
その未来に於ける新しい暮らしとは?

著作権問題、フェイクニュースの大量生成、犯罪への悪用と、生成AIの活用には解決すべきファクターが存在する。そして人の仕事が奪われるというリスクについても良く耳にする話題だ。
しかし、この様な問題点やリスクの発生は、創造的イノベーションの登場に際してこれまでにもあったことだ。変化は常に起こり得る。その変化を機敏に察知し、率先して適応していくことで、自らにとっての最適解を得るのである。
生き残りどころか、これまでには考えられなかった様な飛躍のチャンスを捉えることが出来るのかもしれない。
時代が変われば必要となる能力も変わる。変化を恐れている場合ではないのだ。
生成AIの変化を、成長を見守っていこう。

生成AI 社会を激変させるAIの創造力
作者:白辺 陽
発売日:2023年6月8日
メディア:単行本