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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】これがすべての勉強の源泉だ!喉から手が出る『独学大全― 絶対に「学ぶこと」を諦めたくない人のための55の技法』

 この本は、一言で言おう。辞書である。独学で何かを習得する人に向けた、勉強法の辞典である。なので、この本は全部読まなくてもかまわない、というのが大前提である。全部読まなくてもいいにしろ、世の中には間違った勉強法があふれかえっている。たとえば、マーカーで教科書に線を引いたり、忘れる前に復習したり、といった具合である。どのテクニックもよく学校や予備校で使われているので、正しいと思われるが、実際には間違っている。しかし、この本では、科学的にも正しいと言われている勉強法が掲載されており、これをいくつか組み合わせることによって、勉強が進むようになっている。僕自身、この本のテクニックを使っていた。また、数学の勉強にこの本にある概念が非常に役立っており、数学の便利さも、この本によて発見できたといっても過言ではない。今回はこの本から、僕が使った、あるいは現在使っているテクニックを紹介しよう。

 まず、この本から学んで即実践したのが、「ポモドーロ・テクニック」と「音読」だ。特に音読は、文章の理解を助ける。自分の声に出すから、内容が自分事になりやすいのだ。過去に書評を書いた『不老不死の研究』も『時間は存在しない』も、一冊音読したのだ。これがなかなか効く。「ポモドーロテクニック」は、集中状態をある程度分散させるやり方だ。具体的には25分は勉強に集中し、5分を休憩に充てる。そして、そのサイクルを繰り返す。それだけだ。かなり手軽なテクニックで、なおかつ作業もスムーズに進むので、便利な勉強法として使っていた。今では、先ほど取り上げた音読のほかに、内容に関することや自分の考えを一人解説するように読んでいる。そして、何も見ないで本の内容をノートにまとめるのだ。これが、効果は抜群だ、というコメントを残したいくらいかなり強力なのだ。

 また、この本の後半に、かなり面白い箇所があったので紹介しよう。以前の書評でも取り上げた数学のことである。数学は日常で使われていると書いてある本は、山ほどあるが、本書はその逆を言っている。つまり、「数学は日常のことに回帰するな。数学で分からなければ数学の中で解決せよ。」というのだ。僕はこれを、チャート式で問題を解いているときに痛感した。確かに、二次関数は日常の直感では理解するのが難しい。しかし、数学では、そのような抽象的な概念を扱っているため、抽象的で分からないことを、数学のルールに沿って説明することができるのだ。そのため、数学の中で数学を解決するのである。そのような、日常では理解不能な点を、数学は「数字と記号」を使った「論理」で説明できることが可能だ。なので、「数学でわからないものは数学の中で片付けろ」なのだ。

 ここまで著者である読書猿は解説しているが、何と本人が子供の頃、読書が大の苦手で、一冊読むのに5年を要していたらしい。勉強も苦手であった。そこで、勉強法の追及をし、今では、論文や書籍をもとにして、ブログで解説しているのである。

 苦手としていた人が勉強を通じて成功している。故に、これを読んでいる皆さんも、勉強を挽回するのは十分に可能なのだ。僕も、この本に助けられなかったら、数学をあきらめているだろう。それだけ、この本は勉強する人間にとっては、必須の書物と言えよう。

参考文献
読書猿(2020~2021)『独学大全― 絶対に「学ぶこと」を諦めたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社