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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ここまで読書を極めた人はいない!『読書の技法』

 皆さんは、読書で困ったことはあるだろうか?もし困っていたのなら、それはどのような点で困っていたのだろうか?僕自身は、一時期、読書法や勉強法でかなり迷っていた時期があり、その時には、本の内容もあまり頭に入っていなかった。ここで皆さんにお聞きしたいが、そもそも僕たちは、どうして本を読むのだろう。よく子供のころから「本読め本読め」と言われてきた人も多いのではないだろうか?それにしても、何故、大人たちは、本を読めと口酸っぱく言うのだろう。その割には、読んでいない人も案外多い。勉強が役に立たない、という人も多くいる。では、頭では大切だとわかっていたとしても、何故やらないのだろう。逆に、どうしたら、もっと勉強するようになるのだろう。そんな多くの疑問に答えたのが、本書である。著者の佐藤優は、どの程度のレベルの知識を身につければよいのか、どのように勉強すればよいのかを、270ページにわたり、解説している。僕も、一部実践しているところもある。今回は、この本で感銘を受けたところを紹介しよう。

 まず佐藤優は、何故本を読むのか、というところから議論をスタートさせている。つまり、根本のところが分からないと、モチベーションも湧かないからだと思われる。では、彼はどのような理由で読書をすると言っているのか。それは「限られた時間の中で、手っ取り早く知力を身に着けられるからだ」と書いている。そして、「人間は死が確実に運命づけられているから、そのために読書の技法となっている」という。つまり、短時間で多くの知識を手に入れ、活用していくには、どうすればよいのかが、解説されている。ちなみに言うと、僕は速読はあまり勧めていない。じっくり読んでいる。何故なら、読書を通じて何かを考察するには、一定の時間を要し、速く読めば読むほど、内容はなおざりになってしまうからである。著者の速度のやり方は、あくまで参考程度、というのがいいだろう。

 僕が最も感動し、なおかつ僕の考えの下支えとなっているのが、本書の後半にある「数学の勉強法」である。佐藤優が考える数学の勉強法は「数学は体で覚えろ」である。一見すると体育会系のそれと近いのだが、実はなに一つ間違っていない。それに、彼がこのように言うのには、ちゃんとした理由がある。数学は、実践の学問であり、問題を解くことで、理論が頭に入るからだ、というのが彼の考えだ。このように、実践を通じて身に着けることを「テクネー」というらしい。その考えを僕は参考にし、数学の問題を毎日解いている。試してみると本当にその通りで、実際に問題に触れてみることで、初めて公式や定理を理解することができる。ということがあり「体で覚えろ」なのだ。僕はここに「体と頭の両方で覚えろ」と付け加えたい。

 著者である佐藤優は、元外務省主任分析官。現在は作家である。様々な本を出し、講演も行っている。偽計業務妨害罪で有罪判決を受けたものの、現在ではニュースピックスに出演し対談するなど、活躍している。堀江貴文さんとも対談している。佐藤優は、自宅以外にも、本を読むための部屋も用意しており、自宅と仕事部屋のも合わせると、合計4万冊を超える蔵書数を誇っている。

 この本は、まさに読書に対する基礎的な本だ。佐藤優の視点もかなり盛り込まれているため、読む価値がある。僕は、彼のやり方を参照し、ノートを一冊にしている。仕事もプライベートも、この一冊だ。そのほうが、分かりやすいのだ。このように、日常で使いやすい方法も載っているので、ぜひ、ご一読いただきたい。

参考文献
佐藤優(2012~2020)『読書の技法』東洋経済新報社