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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】時間効率を意識するほど時間が無くなる!?『YOUR TIME 4063の科学データで導き出したあなたの人生を変える最後の時間術』

この本は「時間が無いなら、時間を上手く使おう!」という本である、、、と思いきや、実は、そうではない。あなたも、「時間術」のテクニックを使ったことがあるだろう。「15分刻みにスケジュールをくもう」「締切を設定してパフォーマンスをあげよう」などの方法である。だが、このような時間術を使い、あなたのパフォーマンスは長期的に、どのように上がったのだろうか?もっと言うと、「時間術」自体、どのような経緯で生まれたのだろうか?さらに突っ込むと、そもそも「時間」とは、どのような概念なのだろうか?もし、あなたが「時間が無い!」というのなら、この本は一読する価値がある。

第一にこの本の面白い点が、「そもそも私たちが使っている時間って、どんな概念なの?」という、根本部分から問い直しているのだ。言われてみれば、意識したことがない。特に日本では、「遅刻」が許されない文化だ。とはいえ、時間術が正しいのであれば、遅刻なんてそもそも生まれないはずだ。にも関わらず、遅刻は多数ある。となれば、答えは、「そもそも私たちの時間という理解そのものが間違っている」ということになる。筆者は、この段落の冒頭の問いに、驚くべき答えを出している。それは、「そもそも時間という感覚自体、私たちの脳がした確率計算の結果である」というものだ。「は?」という話だろう。もし、「どういうこと?」と思ったら、是非とも本書を手に取ってほしい。

また、もう1つ、この本が面白いのは、「時間感覚」に注目していることである。要は、「時間に対する私たちの考え方を変えましょう」というものだ。前述の通り、人間は、出来事からその後に起こることや、前に起こったことを、脳で計算している。言い換えれば、「先のことを予期」し、「前に起こったことを想起」しているのだ。つまり、ここから時間の流れが生まれるのだ。このことを理解すると、いかに現代の時間術が的外れなのかが分かるだろう。いくら時間術を使ったところで、その「脳の計算」が間違っていれば、意味が無い。つまり、私たちがやるべきことは、時間感覚を調整することなのである。この方法も、本書に書いてある。時間感覚のタイプ診断もあるので、ぜひ本書を買って、読んで頂きたい。

著者である鈴木祐は、慶應義塾大学の出身だ。自身のブログ「パレオな男」で、アンチエイジングや勉強、心理学、ダイエットなどの論文を解説している。今まで読んだ論文は10万本、医者などの専門家へのインタビューは600人だとか。著書に『ヤバい集中力』『不老長寿メソッド』『進化論マーケティング』『科学的な適職』などがある。

もう一度繰り返すが、その本は、私たちの根本を覆す本だ。少しでも疑問をもったら、すぐさまAmazonでポチっていただきたい。前回同様、この書評では書ききれないほど面白いのだ。そのくらい、この本はオススメである。

参考文献
鈴木祐(2022)『YOUR TIME 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』河出書房新社

大隈知広

YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術