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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】金で雇われ集められたニセ家族。契約者の狙いは何だ? 『タコポン』

父、母、高校生の娘、中学生の息子の一家四人。
ある街の一軒屋に引っ越しをしてきたところから物語は始まる。
しかし、実はこの四人はこの日が初対面だった。
ニセ家族を務める。それが、一戸建ても家財道具も一切合切取り揃えた、謎のスポンサーとの契約事項だった。
契約金は一人当たり五千万円。ボーナス支給の予定もアリ。
金で雇われたモニター家族。それぞれ訳ありの四人は、普通に家族らしく生活することのみを求められていた。

数日間が経過。
母親役の煙山鈴世は専業主婦として、娘役の煙山タラ、息子役の煙山ケムオはそれぞれ学校に通っていた。
父親役の煙山ケム造は、仕事に行くフリをしてパチンコで暇つぶしをする日々を過ごしていたが、不意に煙山家に消印なしの手紙が届いた。
「煙山ケム造 我々との契約事項を守っていない。職種は問わぬ。早急に就職せよ(バイトも可)」
送り主は“タコポン”。
興信所を使って尾行しやがったな。そう思ったケム造だったが、今度は鈴世とタラの二人に向けての警告の手紙が送られてきた。
「警告する。新家族以前の過去の会話はなるべく避けるように」
台所での二人の会話を、何故か“タコポン”は知っていたのだ。
盗聴機? 監視カメラ?
得体の知れないスポンサーは一体どこから見張っているのか。それよりも、この家族ごっこの目的は何か。

漫画原作者狩撫麻礼と言えば、「ボクシング」「音楽」「遁世」が多く描かれるのだが、実は隠れたモチーフがもう一つある。UFO(未確認飛行物体)である。数える程度ではあるが、UFOを目撃したという経験について作品中に描いている。
初めて私がそれを観たのは、『迷走王ボーダー』であったが、それはやはり、狩撫麻礼自身の経験だった。
三十歳を過ぎた頃、空飛ぶYS-11主翼の下に小判鮫の様に二機の円盤が居たのだと言うのだ。
そして彼は、宇宙人の存在も頑なに信じて譲らないのであった。
そう。本作は、宇宙人の存在を思いっきり取り上げた作品なのである。
UFOと宇宙人は何故地球に訪れるのか。地球人類との交流は可能か。
煙山家から何を得ようというのか?

狩撫麻礼の個人的な興味と疑問を、その想像力で膨らました一作。
作画は『ハード・コア』でもタッグを組んだ、いましろ たかしである。

タコポン
作者: 作・狩撫麻礼、画・いましろ たかし
発売日:2013年11月28日
メディア:Kindle