ビジネスエリートってそもそも何？と言うのは無粋なので横に置いておいて、今まで一度も落語に触れたことのない人でも落語の知識をざっと身につけられる本書。著者は大手アパレルメーカーで勤務後、立川談志18番目の弟子として入門した前座名は立川ワコール、現在の立川談慶。
ビジネス書みたいなタイトルにつられて読んだ人も気づくはず。落語は笑えるだけでなく知的好奇心が満たされる教養の宝庫であることを。落語ファンを増やそうと噺の構成や背景からオチに至るまで丁寧に噛み砕いて書かれた文章は読み手を選ばない。まるで落語の高座を見に来ているような気にさせてくれる。
落語に無くてはならないのオチについてもジャンル別に解説されている。
私の好きなオチは一瞬考えた後、面白さがわかってニヤリとする考えオチ。何が良いって少し考えるとその面白さがじわりと伝わる。当然予備知識も求めらるので知的好奇心もたっぷり満たされる。
最後に考えオチの一例を引用。落語の世界へぜひ。
"博打に負けてしまった幽霊が「もう持ち金は無いだろう？」と問われてひと言。「決して足は出しませんから」"
