そういえば、お正月って何を祝ってるんだろう?酒造りの歴史って?地震ってなんで起こるんだっけ?天皇っていつからいるの?竹取物語ってどんな話?花火はどうやって生まれたの?禅を日本に伝えたのは誰?日本で初めて恐竜化石が見つかったのはいつ?全身麻酔っていつから使われてるの?樋口一葉ってどんな人?
ふと疑問が浮かんだ時、あなたはすぐに調べるだろうか。つい後回しにして、そのまま忘れてあやふやのまま、なんてことはよくあることだ。
そんなこと知らなくたって生きていて何ら困ることはないのかもしれない。けれど日常の、そうした疑問にこそ、人生を面白くするヒントが詰まっている。
そう考えると、教養というのは人前で恥をかかないために学ぶものでも、人に自慢してひけらかすためのものでもなくて、あくまでも自分自身のために身に付けるべき、とても贅沢なものなのかもしれない。
本書は、そうした本来大切にすべき疑問を、もう一度思い起こさせてくれる。パラパラとめくりながら、自分の興味のある部分から読み進めればいいので、ある意味受動的に、自分の好奇心を探ることができる。
そしてどの項目も1ページ分に簡潔にまとめられているので、少しだけ、でも正確に知りたかった、という好奇心を満たすのにちょうどいい。それを読んでもっと知りたくなれば、他の本を読んだり、インターネットで調べるなりして深掘りしていける。
とくに、読書好きにはたまらない本だと思う。
評者は小説が好きなのだが、歴史小説なんかを読んでいると、けっこうある程度の細かい知識が必要だったりする。この人誰だっけ?これっていつのことだっけ?という疑問は頻繁に沸き起こる。
もちろん、ひとつひとつ説明しているとストーリーが進まないので、省略せざるを得ない作者の気持ちもよくわかる。だけど読者としても全部調べだすとキリがないので、そういう時、「もっと教養を身につけておくべきだったなあ」なんて思うのだ。書評なんて書き出してしまうと尚のことである。
しかしなによりも、人間にとって知らないことが分かるということはこれ以上にない快感である。そうしてこの世には自分と馴染みのあるものがこんなにあるという喜びを味わう。
教養を身につけるということは、この世界には素晴らしいものがたくさんあるということに気づくこと、そしてそれによって自分自身を肯定できるようになることなのだ。