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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ビジネスは試行錯誤の連続であり、海外個人旅行の世界そのものだ。『変な経営論』

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インタビューを受けている澤田秀雄氏は、株式会社エイチ・アイ・エス(以降、HISとする)の代表取締役会長兼社長である。現在のHISは、旅行事業、テーマパーク事業、ホテル事業、ロボット事業、エネルギー事業、植物工場事業など、既に旅行会社とは言えないほどに事業分野を広げており、2019年12月には持分会社への移行を表明している。
また、澤田氏自身も2016年11月に12年振りに社長に復帰した。それは、これほどまでに変革してしまったHISの舵取りを出来る者が創業者以外にはいなかったからだ。時代に対応した変化をし続ける「変な会社」、「変な経営者」なのだ。

この本では、ハウステンボスの復興を始めとした、上述のような様々な分野へのチャレンジに関する詳述は勿論だが、経営に対する氏の旺盛なチャレンジ精神に溢れる発言も諸所あり、こちらも見逃せない。
澤田氏が自ら執筆した書籍も既存で3冊ありはするのだが、敢えて本書を今回の書評に選んだのはHISにとっての最新の情報を記しているからだ。出生から西ドイツ留学、海外旅行の中で死にかけた体験、起業、ビジネスに於けるチャレンジの数々などをお知りになりたい方は、機会があれば澤田氏の著作も是非手にして欲しい。

ハウステンボスでも失敗ばかりだった」と氏は言う。「残りの3割が大成功したから、黒字になった。ビジネスとはそう言うものだ。失敗は必ずある。失敗するごとに泣き言を口にしているようでは、経営は出来ない。粛々と続けるのみだ」
また、氏は失敗を恐れてチャレンジをしないことを嫌う。「チャレンジして、失敗したとして、何か問題があるのか?お金を失うとか、人に笑われるとか、信用をなくすとか、それぐらいだ。べつに命をとられるわけじゃない。死なないんだったら、後悔しないほうを選ぼう」と。
そして、会社は人次第であると力説するが、また、「生まれながらのリーダーなんていない。誰もがリーダーに「なる」のだ」とも言う。
「だから、どんどん失敗すればいい。失敗から学べるかぎり、さらにいいリーダーに育つ可能性はある」

私は、澤田氏とはまんざら知らぬ仲でもないのだが、思慮に欠ける行為などに対する指摘では散々キツい当たりを喰らった(笑)が、確かに失敗自体を責められたことは無かった様に記憶している。本書中でも、「私は予定調和なものが好きではない。物事がスンナリ進むより、あっちこっちでつまずくほうがワクワクする。失敗すれば、改善すればいい。いつかは正解にたどり着く」と発言している通り、取り敢えずやってみようと言う大らかな構えと、色々なものに興味を向ける発展的な人格の持ち主であると思う。
「夢をもたない限り、夢がかなうことはない」
チャームを備えた面白い人物である。