著者が、長年興味を持っていたことはリーダーシップについて。どのようにしてリーダーになり、リーダーであり続けるのか。そんな好奇心から世界的に著名なリーダーにインタビューする番組を担当した。本書では、彼らの考え方を伝えるためにその内容がまとめられている。
リーダーたちが考える自分がリーダーになれた特性とは、伝統にとらわれない独自の価値観を持ちながら追求し、粘り強く取り組み、日々学び続け、どんなリーダーであっても必ず犯す失敗も謙虚な姿勢で前向きに捉え、次の成功に向けて取り組むことなどだという。
本書評では、掲載されている31人のリーダーのうち、ナイキ創業者 フィル・ナイト氏について取りあげる。ナイキ創業時は、強いリーダーシップはもちろんのこと、シューズデザインの知識も資金もなく、特別なスキルなど何もなかったそうだ。しかし、唯一あったものは人を見る目。尊敬できる大切な人と出会い、チームとして共に過ごしてきたことが、何よりも大切なことだったという。
また、フィル・ナイト氏自身、ランナーであった経験からシューズの大切さを身をもって経験し、常にシューズのことが頭から離れず、創業後も世界中の人々にどのようにしたら製品を購入してもらえるかを考え続けていたそうだ。
心の底からナイキのシューズを愛し、タキシードなどのフォーマルウェアを着用する際にもナイキの黒のシューズを履き、フィル・ナイト氏にとっては一つの製品ではなく、ナイキ全体が芸術作品のようなもの。そこまで愛しているからこそ、創業当時は想像もできなかったような世界的ブランドへと繋がっていったのだろう。