社員若しくは元社員が評価コメントを寄せている企業のクチコミサイトを見たことはあるだろうか?「風通しのよさ」何点、「人材の長期育成」何点、「法令順守意識」何点で「待遇面の満足度」が何点・・・ そう、あれだ。
それら各項目の評価点から総合的にみえてくるものは、その「職場の空気」であり、「職場の空気」は業績結果を決める。
ひと昔前は「実際に働いてみなければ分からない」といわれた職場はいま、可視化され、企業はウソがつけなくなった。例えば表向きには「20代の成長環境がある」と言いながら、実態はそうでないと評価が下されれば、その企業の未来は厳しい。人材が確保できなくなるからだ。
起業するも良し、海外で働くも良しと働く人の選択肢は増え、何を重視し仕事を決めるのか、働く人の価値観も多様化している。そんな中、経営陣やリーダーは何に向き合い、どこに手を付ければ良いのか。本書はこうしたことを、数々のデータを用いその根拠を示しながら”職場の空気を科学し”具体策を講じる一冊だ。
平成30年間の中で時価総額を増やした企業と減らした企業とでは、評価項目のどこがどう違ったのか。また平成元年時点では未上場だが、令和元年時点では時価総額トップ20に入る3社の共通項は何か?
これらの分析から特に「風通しのよさ」「社員の士気」などは、結果を出す職場の空気を決定付ける重要項目と浮かび上がってくる。つまり、結果を出す職場の空気はこの3つの定義が高いというのである。
①経営開放性
②情報開放性
③自己開示性
著者はこの3つの定義こそがオープネスだという。
本書の前半はデータ分析を進めながら「オープネスとは何か」を考察し、後半ではオープネスをどう高めどう活用していくか、具体的な組織戦略に話が及ぶ。
読者がもし組織の一員であれば、自分の職場に重ねあわせながら、とても興味深く読めると思う。管理者の立場なら早速手をつけるべきことが見えてくるはずだ。ぼんやりと、でも間違いなく存在する「誰もが感じていること」にクリアな答えを示した1冊だ。