本書は、画家パウル・クレー(以下クレーという)の生涯を記している。多くの作品も掲載されており、クレーのファンだけでなく初めてクレーを知る人にも見応えのある内容だ。
クレーの作品は言葉で説明するのが難しい。独特というべきか、不思議というべきか。一説には、1911年にフランスの画家ロベール・ドローネーに影響を受け、キュビズムの色彩豊かな空間表現に衝撃を覚えたとのことだ。
また、クレーが生きたのは世界戦争の時代だった。第一次世界大戦ではクレーも出征している。大戦終了後ならびに1930年代のヒトラー政権の際にはドイツからの亡命を余儀なくされた。これらの出来事が作品に与えた影響を推察するのも興味深い。
パウル・クレー(1879~1940)は20世紀のスイスの画家で美術理論家。作風は独特で表現主義や超現実主義のいずれにも属さない。カバー表紙の作品名「セネキオ」は植物の擬人化の説や、クレーの自画像の説もあるが、はたして。
私は高校生の時に初めてクレーの作品を見て感動した。いかようにも解釈できそうだし、そもそもこれは絵画なのかと。特に1920年以降の作品は常人の理解を超えてくる。本書には一応の解釈が載っているが、私はクレーの作品を見た人がそれぞれの解釈をして楽しめば良いと思う。
クレーのワールドを体感して!!