本書は人を騙し金銭を巻き上げる詐欺師たちを騙す詐欺師、黒崎の姿を描いた漫画である。山下智久主演のドラマ原作として知っている人も多いことだろう。
本書の魅力は黒崎というキャラクターにある。彼の詐欺の特徴は、
・詐欺に会った被害者に情報提供を求める代わりに被害額を詐欺師から取り戻す
・情報網を最大限に活用し、あるときは起業家、あるときは資産家とありとあらゆる姿を変幻自在に演じきる
という点にある。
黒崎の詐欺師を騙す手口が彼が20代の青年であることを感じられないくらい鮮やかであるため、読み進めるとすかっとした気持ちのよさを感じる。一方、被害者を救済しつつも、被害者に寄り添いすぎない姿が彼の過去の闇をちらつかせており、キャラクターに深みを出している。
また、化粧品販売でのクーリングオフ販売を拒む詐欺や盗難車を売りつける詐欺など多岐にわたる事例が取り上げられている。各事例に対し、2〜3話完結型を取っているため、気軽に読み進められる。
詐欺の手口を知りたい人、勧善懲悪な話を読みたい人、黒崎がなぜ詐欺師となったのかを知りたい人は一読いただきたい。