本書は、著者自身が経験した獄中生活での出来事をコミカルに綴ったものである。刑務所の話しと聞くと何だか重そうな内容に感じる人もいるかもしれないが、マンガになっているため非常に面白く、刑務所のリアルがよくわかる。
本書との出会いは、2年前に著者が主宰者であるHIU(堀江貴文イノベーション大学校)に入会して初めて参加したイベント(定例会)であった。読んでみると非常に興味深く、一気に読んでしまったほどだ。
しかし、それほど面白かった本なのに、まだ本ブログで紹介していないことを思い出し、2年振りに本書を読み返してみたが、評者自身、世の中について知らないことがたくさんあるのだと感じた。
著者が、刑務所内で一番必要だと思ったのは「仕事」だそうだ。海外に依頼するような仕事は、刑務所の良質な労働力を生かした方がいいし、作業効率を上げるためにはIT化もした方がいいと言う。刑務所内においても著者は、経営者目線で仕事について考えていたと言う。
また、刑務所内の人間関係は様々な受刑者がいるため、理不尽な理由で怒られたり、突然殴られたりしたこともあったそうだ。しかし、反論してしまうと懲罰になってしまうため、ぐっと耐えることにより、忍耐力や受け流す力がついたり、学ぶこともあったそうだ。
著者は、結果として人生の中の長い年月を突然の事件により、費やすことになってしまい、かなりつらい思いをしてきたと思う。しかしそこでは、お金では買えないものを得たと言う。
自分の決めた道で成功できることは凄いことだ。しかし、もっと凄いことは、どんな状況に陥ったとしても、たとえゼロになったとしても、かたちを変えて再び立ち上がり、また新たな道を進んでいける人だ。
それは、また思わぬことが再び起こったとしても、何度でも立ち上がれる力を持っているという証明にもなる。それができる人は、なかなかいないが、著者はまさに、そういう力を持っている人なのだと思う。
刑務所いたけど何か質問ある? マンガ『刑務所なう。&わず。』完全版【文春e-Books】
- 作者: 原作 堀江貴文,漫画 西アズナブル
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/02/14
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る