2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者、辻村 深月さんの最新作。
婚活を経て2年間交際し婚約したが、相手の女性が忽然と姿を消す。消えた女性の過去を探る物語。
ある日突然変われる。そんなチャンスを人は待っている。主人公「真実」も私もその一人だ。
すべて親任せで生きてきた「真実」は自分で決められない。自分で決めないことを決めているのだ。
結婚相談所のオーナーは耳が痛いことを言う。
婚活が上手くいかない人は『ピンと来ない』に悩まされる。
相手にピンと来る、来ないというのはその人が自分につけている点数。
点数に見合う相手が来なければ人はピンと来ないといいます。
ドラマで見たり、話で聞く恋愛ができそうもないと無意識に相手に落第点をつけてしまうそう。
私自身、恋愛結婚の末結婚したが、付き合っていた3年間この人で良いのかとずっと迷っていた。
何でも選べる都会にいて選択肢が無限にあると思い込んでいるつもりが手元に残ったのは選ばなかった時間だった。
この小説で主体制のない親任せの主人公「真実」に心底苛々させられたがこれは過去の自分へ怒りだったのかもしれない。
この話には様々な対比が描かれている。
男友達と女友達。独身と結婚。都会と田舎。自由と不自由。真実と嘘。傲慢と善良。
もし対岸へ行きたいと望むなら一歩一歩自分で決断し進むしかない。
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2019/03/05
- メディア: 単行本
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