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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】一度引き込んだら、時間も金も離さない。『依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実』

今、現在で利益を上げ、継続している企業はもれなくインフラに携わっていることは理解できる。さらに付け加えるとすれば、人間の根源的欲求に根付いたビジネスも同様である。

生活基盤ビジネス、本能的欲求ビジネス。これらは消費者が「人間」である限り永続していく。企業は脳の報酬系の仕組みを把握し、「どうすれば、ユーザーは”病みつき”になるか?」を競い合っている。

iPhoneゲームの開発者に求められている最優先の仕事は脳の報酬回路の利用法を学ぶことだ」と開発者たちも認めている。報酬系に関与するドーパミンは意志力だけでは簡単に太刀打ちできない。だから「やめられない」。

“病みつき”ビジネスはテクノロジーの発展に伴いアクセスしやすくなり、人間を「廃人」にさせる。ウェブサイトは“病みつき”の温床となり、メーカーはさらにドーパミンを放出させるガジェットの精度を上げ、それは正常であると広告を打ち依存することへの罪悪感を消す。企業はその戦略のための専門家すら雇う。

現代の消費活動は人々の意志力の弱さに付け入って発展し、消費者には誘惑に対して無防備であることが求められている。

テクノロジーの発展は欲望を刺激するコンテンツへのアクセスを容易にし、「廃人」を大量生産する。本書にてその仕組みの理解とリテラシーを学ぶことは必要である。

依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実

依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実