本作品は埼玉の大宮に住む女子高生達が、盆栽の魅力に惹かれていく物語だ。1巻では晴れて盆栽部を結成した。この2巻では部のメンバーである雨天、楓、そして かのん の3人でさらに盆栽の魅力や知識を深めていく。
“盆栽”と聞くとどうも手を出しにくいイメージを受けないだろうか。私も以前は「おそらく70歳くらいの」「主には男性の」「ささやかな趣味」という程度のイメージを持っていた。しかしその狭い認識は、本作品を通すことで大きく変えられることになる。この作品では17歳前後の女子高生達が盆栽の持つ楽しさや奥深さをひとつひとつ探求していく。実家が盆栽園である雨天が盆栽との関わり方を伝え、楓が女子高生の目線でくすぐられた好奇心を素直に表現してくれる様子が心地良い。同じ“盆栽”でも伝え手が変わればこうも受ける印象が変わるものかと気づかされる。
本作品を読んだ後はまるで私自身盆栽部のメンバーになった気分だ。実は埼玉の盆栽美術館に一人で足を運んでしまったほどだ、これはきっと私だけではないのではと思っている。そうさせるのも本作品の持つ魅力のひとつだ。物語を伴奏するものは盆栽そのものの奥の深い研究ではなく、女子高生達のライフスタイルになる。登場人物達は盆栽についての知識を得るだけではなく、盆栽を通じてお互いの関係を積み重ねていく。1巻と比較すると、2巻での盆栽部のメンバーの関係性が柔らかく変わっているのもわかるだろう。盆栽部の3人だけではなく、盆栽を通して徐々に仲間の輪が広がっていくことにも注目してほしい。
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