HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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地図を持たずに冒険すること『仕事は楽しいかね?』

「とにかく僕の話を聞いてほしい。

僕たちの社会では、時間や進歩に対して直線的な見方をしている。

人生とは、やるべきことの仕事や習得すべき技術や到達すべきレベルの連続ですよ。
目標を設定して、それに向かって努力しなさい、とね。

だけど、人生はそんなに規則正しいものではない。
規則から外れたところでいろんな教訓を与えてくれるものだ。」

「目標を設定すると、自己管理ができているような気がするものだ―」
彼はそこで私の言葉を切る。そして、いまだに私が手に握りしめている“成功のための戦略”の紙を指差し、それを見るように促した。

「ここをごらん。
きみがこの紙のリストにあげた“自分の人生をきちんと管理すること”という項目を。
ハハ! 人生はそんなに扱いやすいものじゃない。」

空港で青年が老人と偶然出会い、ビジネスの成功について話し合うことになった。

人生と計画。
私たちは人生は計画通りにいかないと分かっていても、計画を立ててしまいます。

「問題は君が理屈っぽいってことだ。きみの思考は学生モードのままなんだよ。この課題をやっておきなさい。そうすればAがとれますよってね。きみは、課題のリストを欲しがっているだけなんだ。」

「論理だてて考えたりすれば、問題は必ず解決できるなんて、そんな印象を君には持ってほしくないからね。」

新しい発見は計画を立てるような秩序だったものではなく、遊び感覚でいろいろ試して、出会うことができる偶然のことです。

リーバイスのジーンズは鉱夫へ必需品を打って儲けようとした行商人が、売れ残ったテント用の汚い帆布を、品薄になっていたズボンに仕立て上げて販売したのが始まりでした。

はじめからジーンズを売る予定ではありませんでしたが、売れ残ったテント用の帆布を使って、何をすべきか考え続けてこそ、リーバイスのジーンズを思いつくことができました。

ここに具体的な計画性や長期的な計画はありませんでした。
ですが、採掘の仕事にはズボンが必需品だったこと、ズボンが品薄になっていたこと、それに気づいたこと。そして、売れ残った帆布を使って試しに販売してみたこと。
それが、リーバスのジーンズの始まりでした。

「とにかく試すこと。試すことに失敗はない。
何かいろいろ試してみて、それがろくでもないアイデアだとわかったとき、きみはもとの場所に戻ることは絶対にない。必ず、何か学ぶからだ。だから、試すことに失敗はない。」

そして、日常に注意を払って、“偶然”や“まぐれ”を見つけること。
コカ・コーラの始まりは薬にソフトドリンクを混ぜたこと、ミックス・ベリーの紅茶は捨てる用の三つの材料を混ぜたところから生まれたことが始まりです。

「いつか君は文書ファイルにつけたパスワードを忘れて自分自身や、ソフトウェア会社に怒るかもしれない。
でも、そのミスや失敗に対して、じっくり検討すると何か役に立つことが思いがけず見つけ出せるかもしれないね。
もしかしたら君がパスワードを再発見するためのソフトウェアを開発するかもしれない。」

人生は計画通りに進むものではなく、“偶然”や“まぐれ”の連続だということ。
もしかすると、そういった“偶然”や“まぐれ”を「運が良かった」と表現するのかもしれません。
長期的ではなく、目の前で起きた出来事の意味を見落とさずに、見つけることが重要なのかもしれません。
野苺を摘み取るように、あちこちに落ちている“偶然”、“まぐれ”を拾い集めましょう。
きっと”思いがけないもの”を見つけることができるかもしれません。

冒険中に地図ばかり見ていては、綺麗な景色も珍しい動植物も見落としてしまいますね


仕事は楽しいかね? (きこ書房)

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