人は明るい気持ちで笑顔になっていると、たくさんの「いいこと」がある。
と言う著者は、精神科医。
気持ちが明るくなったり、暗くなったりするのは、全て「主観」の問題であると述べる。同じ出来事に遭っても、平然としている人もいれば、不安に襲われる人もいるが、これは物ごとに対する「考え方」や「見方」の違いによるものだということだ。
本書は、ネガティブな考え方をポジティブに変えようというものではなく、別の視点からの見方で、他の可能性を考えようというのだそうだ。
その具体的な方法は?
著者は、精神医学や心理学といった「科学」の観点から、それについて解説する。
という訳だから、モルヒネの数倍の鎮痛効果があるエンドルフィンとか、リンパ球の一種であるNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化されて免疫力が高まるとか、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されるとか、自律神経を整えるとか、テストステロンやらエストロゲンやらの医学用語も織り混ぜて、笑顔でいることや、声を上げて笑うことのメリットを謳う。
反面、世の中のことは、どんなことでも「やってみなければ分からない」ことばかりで、答えが分からないからこそ、なんでもやってみることが大切と、科学的な見地に止まらず、精神論的な面からもポジティブさを勧めたりもする。
人生を楽しく生きて、幸福を感じる為の一番のカギは「色々なことを試してみることだ。人生が最終的に上手くいく人というのは、「めげずに試し続ける人」だと。
そうすれば、①色々なことを試す → ②打数が増える → ③ヒットの数が増える → ④人生が上手くいく → ⑤毎日が楽しくなる → ⑥自然と笑顔になる という好循環サイクルが回り始める。
暗い気持ちで何もしないでいても、楽しいことがなんにも起こらないだけだ。だったら少しでも多く打席に立ってみた方が賢明ということだ。
大事なことは、今より良くなりたいと思って、小さな一歩でもいいから、前を向いて歩き出すことだ。
良いことが起きない状態が続くと、気持ちにハリが無くなりがちだ。悪くすれば鬱にもなり兼ねない。
辛い時でも、嘘でも良いから笑っていよう。そうすりゃ段々と楽しくなってくるものだ。
きっと良いこともやってくるさ。
なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学
作者: 和田秀樹
発売日:2022年6月1日
メディア:単行本