タイトルでは熟年交際のススメとされているが、内容はその年代だけに限定されない。男女が共にいられる条件が書かれているので、20代後半、30代の人も問題なく読むことが出来る。新しい男女交際の教科書がここにある。
西原理恵子といえば、漫画家としても高須クリニックの先生の恋人としても有名だ。彼女は結婚出産、アル中の夫との離婚、別れた夫の癌治療の末看取るなど、波乱万丈。人生の先輩として不足なし。
彼女の主張はこうだ。
・寿司とドレスは自分で買え
・医者と結婚したいなら自分でも医者になれ、対等な立場での恋愛
・欲しいのは彼氏であって、夫じゃない
・夫婦は子育てやローンに対する保険制度
・籍を入れることは相手の家に入ること。事実婚でいい。
・24時間一緒にいない、週1でいい。
・ビバ二股・三股!
特に素晴らしい視点は、「ビバ二股・三股!」だ。「何それ、浮気助長してるってこと?」と訝しがる者もいるだろうが、それは少し違う。これはリスクの話だ。
昨今仕事を分散することが推奨されている。資産はドルとユーロと円、インゴッドなど分けて持つ。複数の友人コミュニティに所属する。パートナーもそれらと同じということだ。
どこかで聞いたが、そもそもパートナーとは「友人関係に性愛が乗ったもの」だという。そうなると、西原の主張は「異性(ないし性愛対象)の親友を三人持て」とも受け取れる。パートナーと別れるということは、最大の味方がいなくなることであり、共通の友人、居住地域コミュニティも失うことを意味する。夫婦で仕事をしていれば同僚も取引先も失くす。一瞬にして全てが消滅し、ほぼ死刑宣告だ。
なぜ私はがここまで熱を入れるかというと、かくいう私も同じような出来事に最近直面したからだ。10年の信頼があろうと、崩壊はある日突然訪れる。
大抵の問題は金銭で解決出来る。ただ、唯一金銭で解決出来ないのが信頼関係。そのときに必要なのは、享楽的な浮気相手ではなく、異性の親友だ。
なぜならそこに性愛関係が乗せられたら恋人に、すなわち新たなパートナーになる可能性が出てくる。最強のリスクヘッジだ。
これから籍を入れる方へ。結婚することで相手が自分を良い方向に連れて行ってくれると期待してはいけない。自分の人生を預けられるのは自分だけ、最大の味方はあなた自身だ。
さあ、既に結婚してしまっている人も親友を作る準備をしよう。10年計画でも良い。共に生き残るために。
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/04/28
- メディア: 文庫
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