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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】もし若い世代なら、この本はどう見える?『人生は20代で決まる 仕事・恋愛・将来設計』

 僕は、非常に気になることがある。何故「もう自分は若くないし、勉強したって頭に入らないよ」という人が多いのだろう。もっと言うと、僕が「年取るのが楽しみ。知識と経験も増えるし、選択肢も広がる。」と言うと、大体の人が口をそろえて言うのが、「若いうちはみんなそう言うんだよ。年取ってみ?そう思わなくなるから」である。何故、「歳をとること=悪いこと」としてとらえている人が多いのだろう、僕はずっと疑問に思ってきた。そんな疑問の中、僕はこの本を読んだのだが、その答えが少しわかった気がする。この本は、いい意味で今の20代に「警告」を促す本である。また、僕の「20代」に対する考え方が深まった本でもある。この本を紹介しよう。

 この本で、まず一番驚いたのが、「今の30代の多くが、若い日々を取り戻したい」と思っていると書かれていることだった。僕としては、今自分がやるべき時に集中したり、逆にこれからを生きるために考えをめぐらす、ということのほうが大切なのに、何故失われた20代に戻りたいのだろう、と考えている。本書でも紹介されているのだが、「思い切り遊べるのは20代のうちだよ」と考えている人が、少なくない。そして、文字通り本当に「遊んで、気づいたら30代」というケーズが多いのではないだろうか。なので、20代にできたことをやらず、結果的に20代を取り戻したい、という心理に陥るケーズがあるのではないかと、僕は考えている。詳しく言うと、この本では、多くの20代の人に、著者がインタビューし、その内容を載せている。「ずーっと実家にこもっている」「友人の家を働かずに渡り歩いている」という例もある。このことから考えるに、20代の中には、「20代を変な方向に考えている(将来設計はまた後で等)」という人が一定数いる。実際に、本書でもこのことは書かれいる。

 この本では、「しっかり将来のことについて考えて仕事につきな」のようなメッセージもある。実際に、著者がそのようにアドバイスしている場面も載っている。だが、僕自身は、本質は別にあると思っている。20代で人生設計するのには早いのだ。これは『THINK AGAIN』というアダム・グラントの本で書かれていたのだが、若いということは、当然知識や経験も浅い。その中で将来を方向付けるのは、視野を狭めるので危ない、というものだ。しかし、この本にある「20代は重要」というのも賛成できる。つまり、20代でどれだけ多くの体験や知識を得られるかどうか、ではないだろうか。計画性の弱点は、視野狭窄をおこし、それ以外のゴールが見えなくなってしまう点だ。なのであれば、多くのことに挑戦して、寄り道をする、というのが、20代においては、かなり大切なことではないのか。そのように、24歳である僕は考えたのだ。

 著者であるメグ・ジェイは。アメリカの心理学者で、数々のクライアントに、アドバイスしてきた。クリニックでカウンセリングもしており、TED talksでは、彼女のスピーチが970万回も再生されたという。現在はクリニックのほか、バージニア大学で教鞭をとっている。

 この本で、20代について、皆さんはどう思うだろうか?特に、僕と同じ世代の人と議論したいものである。

参考文献
メグ・ジェイ(2016~2021)『人生は20代で決まる 仕事・恋愛・将来設計』小西敦子(訳) 早川書房

 

 

【書評】ここまで読書を極めた人はいない!『読書の技法』

 皆さんは、読書で困ったことはあるだろうか?もし困っていたのなら、それはどのような点で困っていたのだろうか?僕自身は、一時期、読書法や勉強法でかなり迷っていた時期があり、その時には、本の内容もあまり頭に入っていなかった。ここで皆さんにお聞きしたいが、そもそも僕たちは、どうして本を読むのだろう。よく子供のころから「本読め本読め」と言われてきた人も多いのではないだろうか?それにしても、何故、大人たちは、本を読めと口酸っぱく言うのだろう。その割には、読んでいない人も案外多い。勉強が役に立たない、という人も多くいる。では、頭では大切だとわかっていたとしても、何故やらないのだろう。逆に、どうしたら、もっと勉強するようになるのだろう。そんな多くの疑問に答えたのが、本書である。著者の佐藤優は、どの程度のレベルの知識を身につければよいのか、どのように勉強すればよいのかを、270ページにわたり、解説している。僕も、一部実践しているところもある。今回は、この本で感銘を受けたところを紹介しよう。

 まず佐藤優は、何故本を読むのか、というところから議論をスタートさせている。つまり、根本のところが分からないと、モチベーションも湧かないからだと思われる。では、彼はどのような理由で読書をすると言っているのか。それは「限られた時間の中で、手っ取り早く知力を身に着けられるからだ」と書いている。そして、「人間は死が確実に運命づけられているから、そのために読書の技法となっている」という。つまり、短時間で多くの知識を手に入れ、活用していくには、どうすればよいのかが、解説されている。ちなみに言うと、僕は速読はあまり勧めていない。じっくり読んでいる。何故なら、読書を通じて何かを考察するには、一定の時間を要し、速く読めば読むほど、内容はなおざりになってしまうからである。著者の速度のやり方は、あくまで参考程度、というのがいいだろう。

 僕が最も感動し、なおかつ僕の考えの下支えとなっているのが、本書の後半にある「数学の勉強法」である。佐藤優が考える数学の勉強法は「数学は体で覚えろ」である。一見すると体育会系のそれと近いのだが、実はなに一つ間違っていない。それに、彼がこのように言うのには、ちゃんとした理由がある。数学は、実践の学問であり、問題を解くことで、理論が頭に入るからだ、というのが彼の考えだ。このように、実践を通じて身に着けることを「テクネー」というらしい。その考えを僕は参考にし、数学の問題を毎日解いている。試してみると本当にその通りで、実際に問題に触れてみることで、初めて公式や定理を理解することができる。ということがあり「体で覚えろ」なのだ。僕はここに「体と頭の両方で覚えろ」と付け加えたい。

 著者である佐藤優は、元外務省主任分析官。現在は作家である。様々な本を出し、講演も行っている。偽計業務妨害罪で有罪判決を受けたものの、現在ではニュースピックスに出演し対談するなど、活躍している。堀江貴文さんとも対談している。佐藤優は、自宅以外にも、本を読むための部屋も用意しており、自宅と仕事部屋のも合わせると、合計4万冊を超える蔵書数を誇っている。

 この本は、まさに読書に対する基礎的な本だ。佐藤優の視点もかなり盛り込まれているため、読む価値がある。僕は、彼のやり方を参照し、ノートを一冊にしている。仕事もプライベートも、この一冊だ。そのほうが、分かりやすいのだ。このように、日常で使いやすい方法も載っているので、ぜひ、ご一読いただきたい。

参考文献
佐藤優(2012~2020)『読書の技法』東洋経済新報社

 

 

【書評】これがすべての勉強の源泉だ!喉から手が出る『独学大全― 絶対に「学ぶこと」を諦めたくない人のための55の技法』

 この本は、一言で言おう。辞書である。独学で何かを習得する人に向けた、勉強法の辞典である。なので、この本は全部読まなくてもかまわない、というのが大前提である。全部読まなくてもいいにしろ、世の中には間違った勉強法があふれかえっている。たとえば、マーカーで教科書に線を引いたり、忘れる前に復習したり、といった具合である。どのテクニックもよく学校や予備校で使われているので、正しいと思われるが、実際には間違っている。しかし、この本では、科学的にも正しいと言われている勉強法が掲載されており、これをいくつか組み合わせることによって、勉強が進むようになっている。僕自身、この本のテクニックを使っていた。また、数学の勉強にこの本にある概念が非常に役立っており、数学の便利さも、この本によて発見できたといっても過言ではない。今回はこの本から、僕が使った、あるいは現在使っているテクニックを紹介しよう。

 まず、この本から学んで即実践したのが、「ポモドーロ・テクニック」と「音読」だ。特に音読は、文章の理解を助ける。自分の声に出すから、内容が自分事になりやすいのだ。過去に書評を書いた『不老不死の研究』も『時間は存在しない』も、一冊音読したのだ。これがなかなか効く。「ポモドーロテクニック」は、集中状態をある程度分散させるやり方だ。具体的には25分は勉強に集中し、5分を休憩に充てる。そして、そのサイクルを繰り返す。それだけだ。かなり手軽なテクニックで、なおかつ作業もスムーズに進むので、便利な勉強法として使っていた。今では、先ほど取り上げた音読のほかに、内容に関することや自分の考えを一人解説するように読んでいる。そして、何も見ないで本の内容をノートにまとめるのだ。これが、効果は抜群だ、というコメントを残したいくらいかなり強力なのだ。

 また、この本の後半に、かなり面白い箇所があったので紹介しよう。以前の書評でも取り上げた数学のことである。数学は日常で使われていると書いてある本は、山ほどあるが、本書はその逆を言っている。つまり、「数学は日常のことに回帰するな。数学で分からなければ数学の中で解決せよ。」というのだ。僕はこれを、チャート式で問題を解いているときに痛感した。確かに、二次関数は日常の直感では理解するのが難しい。しかし、数学では、そのような抽象的な概念を扱っているため、抽象的で分からないことを、数学のルールに沿って説明することができるのだ。そのため、数学の中で数学を解決するのである。そのような、日常では理解不能な点を、数学は「数字と記号」を使った「論理」で説明できることが可能だ。なので、「数学でわからないものは数学の中で片付けろ」なのだ。

 ここまで著者である読書猿は解説しているが、何と本人が子供の頃、読書が大の苦手で、一冊読むのに5年を要していたらしい。勉強も苦手であった。そこで、勉強法の追及をし、今では、論文や書籍をもとにして、ブログで解説しているのである。

 苦手としていた人が勉強を通じて成功している。故に、これを読んでいる皆さんも、勉強を挽回するのは十分に可能なのだ。僕も、この本に助けられなかったら、数学をあきらめているだろう。それだけ、この本は勉強する人間にとっては、必須の書物と言えよう。

参考文献
読書猿(2020~2021)『独学大全― 絶対に「学ぶこと」を諦めたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社

 

 

【書評】こうして僕は幸福地獄から抜け出しました『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』

 独特なタイトルだろう。幸福になりたいのは、みんな同じである。だからこそ、みんなは幸せになろうとする。理想の恋人を探したり、ケーキを食べたり。幸せになろうということに躍起になっている。その流れに乗ったのだろうか、最近では「ストレスフリー」だの「ポジティブ思考法」といった本が書店に行くと、ずらっと並んでいる。しかし、この本の著者であるラス・ハリスは、「そもそも何でそんなにみんな幸福を追い求めているの?」を問い直したのだ。そして、彼は、多くの人が勘違いしてることを「幸福の神話」として冒頭で紹介している。僕も、実はこの神話に取りつかれていた人間の一人で、この神話が原因で今まで苦しんできたのかと腑に落ちた。今回は、この本について紹介する。

 先ほども書いたように、この本では幸福の神話について書いている。その内容を一言で言い表すと「そもそもみんな幸福であるのがデフォルトとなってるから、そんなに苦しむんでしょ?」である。これを読んだとき、僕ははっとした。「確かにその通りだ」と。つまりはこうだ。まず、「幸福な状態が正常で、それ以外は異常である」と思っている。そして、何か嫌なことにがあると、「これは幸福ではない。故に、悪いことであり、避けなければいけない」と思っているのだ。要は、多くの人はそのような見方を持っているので、苦しんでしまうのだ。だから、幸福のためには感情をコントロールしなきゃだめだ、と思い込むようになってしまうのだ。このように解説している本はそこまでないだろう。第一、世間には「こうすれば幸福だから、みんなそうすべき」という押しつけにも近いものがある。それも苦しむ原因だろう。

 そして、本書ではそのような思い込みを避けて、自分の人生を生きるためにはどうすればよいのかを、240ページほどにわたって、解説しているのだ。しかも、章ごとに実践できるようになっているので、だいぶ読みやすくもなっている。その中で僕が恩恵を受けたのが「自分の価値観を明確にし、それに従うこと」である。僕の価値観は「本を読んだり数学を勉強したり、運動することを通じて、自分を高めることが大切」「勉強が嫌いという人にアプローチして、勉強で世の中を救うことで貢献するのが重要」「なんでも新しいことを吸収して、人生を自分で切り開いていくのは欠かせない」という価値観がある。僕は最近この価値観、信念をもとに行動している。そのようなことを、本書のワークを通して、発見することができたのだ。そのようなこともあるため、この本をぜひ読んでほしいのだ。

 著者であるラス・ハリスは、医師であり心理療法士でもある。自分自身でもこの心理療法をつかい自分の人生を切り開いてきた。この本には、「不安に悩まされたときはチョコチップを5袋たいらげた」なんてエピソードも載っている。そのような点で、多くの人の目線に経っている。かなり共感できることもある。この本は、不安症や心配性なひとには、かなりお勧めだ。
 
 この本は、メンタル面で自分の生活の基盤を作ることができる。読むだけではなく、実際にやる本なのだ。理論は使ってしまったほうが手っ取り早い。ぜひ、本書を通じて、何度も実践してみてほしい。僕も実践している。だからこそ、この書評を書き、本を読み、数学の問題を毎日解いている。

参考文献
ラス・ハリス(2015~2020)『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』岩下慶一(訳) 筑摩書房

 

 

【書評】新登場!「早寝早起き」に関する新常識!『最良の効果を得るタイミング―4つの睡眠タイプから最高の自分になれる瞬間を知る』

 

 皆さんは、子供の頃、いやというほどこのセリフを聞いたのではないだろうか?「早寝早起きは三文の徳。体にいいんだからそうしなさい」というセリフを。しかし、これをお読みの皆さんの中には、このように思う方もいるのではないだろうか?「いや、そんなこと言われてもさ、朝はどうしても眠いし起きられないしさ。夜のほうが元気になっちゃうんだよね」と。つまり、「早寝早起きは大切なのは頭ではわかってるよ。それができないから困ってるんでしょうが」という思いである。実際、僕もそうだ。朝は、からっきしだめだ。執筆ならできるけど、朝から集中力が必要な仕事なんてやっても、頭がぼーっとして仕事どころではない。しかし、そんな人を助けるような本が出たのだ。それが、マイケル・ブレウス博士が書いた「体内時計」の本である。今回はそれを紹介しよう。

 まず、この本ではまず体内時計の歴史について紹介している。今まで続いてきた体内時計をぶっ壊した人物について紹介し、その後、自分の体内時計のタイプを診断するページがあるのだ。そう。実は「朝弱いのか強いのかを含む、いつ生産性が上がるのかは遺伝によって決まっている」のだ。博士は、この本で4つのタイプを紹介している。詳しくは本書に譲るが、4つのタイプに分け、それぞれに動物の名前がついている。ちょっとかわいらしい。そのように、みんなになじみ深い形にし、解説しているのだ。そして、何とこの体内時計(概日リズム、またはクロノタイプと呼ぶ)は、性格とも関係しているのだ。この本では、こういうクロノタイプはこのような性格が多いということを説明している。なので、自分の性格と体内時計がセットで知れる、お得な本でもある。
 
 そして、何より、この本では、各クロノタイプごとの生活の組み方を事細かに解説している。つまり、彼の言い分というのは、「世の中は筋トレでどんなメニューをこなすのか、何を食べるのかは論じられているけど、いつやるのかはあまり論じられていない。なので、いつやるかも見極めよう」というのである。実際、僕もこの本を参考に生活を組んでいる。だから、塾の講師をやっているし、午前中に書評の執筆をするのだ。僕は、分析的な作業は夜のほうが圧倒的にパフォーマンスが高い。それもこれも、この本があったからだ。なので、この本は、生活の基盤になるのである。

 そんな本を書いたマイケル・ブレウスは、アメリカ睡眠医学会の認定医である。数々の論文を読み漁り、彼なりのクロノタイプ理論を構築した。メンタリストDaiGoさんのDラボでもたびたび紹介されている。また、テレビ番組でクロノタイプを紹介し、メルマガを定期的に配信している。睡眠に関しては一家言ある人なのである。

 この本は、辞書のように使うことができる。自分のタイプと診断したら、その通りに生活を組んでみるのだ。そのくらい、役に立つ本である。拾い読みするのもおすすめだ。まずは、店頭やAmazonでこの本を買い、タイプを診断し、自分を理解してみてはいかがだろうか?

参考文献
マイケル・ブレウス(2020)『最良の効果を得るタイミング―4つの睡眠タイプから最高の自分になれる瞬間を知る』長谷川圭(訳) パンローリング

 

 

【書評】こうして僕は数学のとりこになりました『東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』

 

 数学を、皆さんはどのようにとらえているのだろうか?恐らくつまずいたという人が多いだろう。何を隠そう、僕も数学につまずいた人間の一人なのだ。小学校の頃は、算数の学力テストで94点を取ったこともあったが、中学に入ってかなりつまずいた。膨大な量の問題と、一気に複雑となった概念。そして、一定の速度で進むカリキュラム、部活で疲れすぎ勉強に回す余力も残っていなかった。そして、長らく数学を放棄してきた。だが、この本を書店で見つけて、人生が変わった。そこで今回は、「数学がいかに魅力的で、かつ人生において重要か」を熱弁した本を紹介しよう。

 まず、この本で面白いのは、軽く数学史から振れている点である。例えば、「-(マイナス)が何で生まれたの?」とか「そもそも数学って何で生まれたの?」といった点である。つまり、この本がうまいのが、まず読者の「何故」に、好奇心をかき立てるように答えている点だ。僕は塾の講師をしているが、この本の内容を何度も授業で話している。そのくらい、この本は、数学アレルギーの人におすすめの本なのだ。そもそも、「数学は『誰が見ても明らかな客観的な指標を示すために生まれた』学問」であるという、根本から解説している本である。例えば、カーナビが「この先ちょっと行ったら右」なんて案内したら、どうなるだろうか?「いや、ちょっとってどのくらいだよ!」とツッコミを入れたくなるだろう。つまり、数字を含めた数学があるから、僕らの生活を支えてくれているのだ。それを教えてくれるからこそ、この本は読む価値がある。

 そして、もっともこの本が面白いのは、何と中学のカリキュラムをほとんどバッサリカットしているのだ。そして、「中学の数学で本当に大切なのはこれとこれとこれ!」と言う形で解説しているのが、実に見事なのだ。つまり、中学校のカリキュラムは中学生を「これどこに向かってるの?」と迷子にさせるので、すっきりさせる必要があるよね、という理論の下、構築された本なのだ。実に考えられた本である。だからこそ、この本は一読する価値があるのだ。なので、この本を読むと、数学は案外役に立つし、面白い学問なのだ、ということが伝わってくる。僕は、この本を何度も読み直している。

 この本の著者である西成活裕は、東京大学にある先端科学技術研究センターの教授であるが、かなり面白いことをしている。何と、「何で渋滞が起きるの?」というのを数学で研究する「渋滞学」を作った人なのだ。つまり、渋滞を公式化しようと試みている先生だ。更に、高校数学でやる「微積分」の概念を、小学生に理解させている。この先生は、ホリエモンチャンネルにも出演している。ぜひとも、一度見ることをお勧めする。

 僕はこの本をきっけに数学を学び直そうと決め、今では趣味でチャート式の数学の問題を解いている。塾では、数学も教えている。数学が苦手な人でもここまでなれるのだ。その出発点となる本だ。ぜひとも、数学でつまずいた人は、この本を読んでみてはいかがだろうか?

参考文献
西成活裕・郷和貴(2019)『数学の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』かんき出版

 

 

【書評】何故「障害」なんて言われるの!?『発達障害の人には世界がどう見えているのか』

 皆さんは「発達障害」について、どのようなイメージを持っているだろうか?最近、何かと「発達障害」が何かと話題になっている。いつだかの24時間テレビでも自閉スペクトラム症(ASD)が取り上げられ、書店でも「発達障害系」の本が並んでいる。テレビ番組といい、書籍といい、中身を見てみると、どうやら彼らには、強みと弱みの差が大きいだけで、驚くほどの才能を持っていることが見受けられる。言い換えれば、一昔前には「発達障害の人はこういうことができないよね」「この部分で苦労するよね」となっていたが、最近の流れは逆なのだ。「こういう部分は苦手だけど、逆にこの部分はかなり得意よね」ということが、身近に起きている。なので、最近は「自分を受け入れましょう」という形になりつつある。というか、それ以前に、「障害ではなく、一種の性格の凸凹」という見方も出てきている。僕自身、どちらかというと、今まで「発達障害」と言われてきた特性をいくつか持っているが、そのような特性を持っているから得意なこともある。この本を読んで、自分の特性について理解が深まった。今回は、どのような部分が役に立ったのか、面白かったのか、ということを紹介していく。

 まず、この本で最初に取り上げているのが、「発達障害」への理解である。特に「困っていること」だ。この世の中の尺度から行くと、「発達特性」は不利になりやすい。コミュニケーションやその行動の異質性から、仲間外れにされやすいのだ。なので、この本では、その特性を持っていることで、どのようなことに困ってるのかを、紹介している。そのなかで、僕も筆者も口を大にして言いたいのが、「性格に問題で片づけられることが非常に多い。しかし実際は脳や遺伝子のレベルなので、直そうと思っても周りも自分自身も苦労しか待っていない」ということだ。例えばASDを持っている人は、コミュニケーションで問題を特に抱える。共感するという概念自体が少ないため、一方的になりやすい。僕も、脳の構造はASDと診断される人と同じと医者から言われたことがある。これらのことを含めて、筆者がここで強調しているのが、「何故」を深掘りし、理解していくことが重要だ、ということである。

 そして、ここからが本書の真骨頂だが、この「発達特性」といわれているものは、何とかなり役立つ場面が多し、なのだ。例えば、ASDが顕著な人なら、その分感覚が優れていることが多い。絶対音感のような聴覚の鋭さを持っていることもある。なので、音楽の分野で活躍できる可能性が高い。また、その共感力の少なさからくる圧倒的論理力で、数学を極めて活躍できる人もいる。僕自身共感力は低い。しかし、そのおかげで学問に興味を持ち、今では数学の問題をたくさん解き、本も読んでいる。そして、このような書評も書けるのだ。他にも例としては、本書ではないが、ジェフ・ベゾスの例やイーロン・マスクの例が載っている。彼らが得意なのは、何と数学なのだ。抽象的な思考が得意なASD、という人もいる。僕自身、数学を勉強している。これは知覚統合という分野に関係するのだが、ここから語り始めるときりがないので、また今度の機会に記述する。少し脱線したが、要は「ASDだろうとADHDだろうと、その分かなり得意なことも存在するため、そっちを伸ばしたほうがいいんじゃないの?」ということを述べているのである。

 本書を書いた井出正和は、国立リハビリテーションセンター研究所の研究員だ。専門は実験心理学である。立命館大学大学院の心理研究科で博士課程をとっている、心理学の博士である。MRIを使い、感覚過敏や感覚鈍麻についてのメカニズムを研究している。著書に『科学から理解する自閉スペクトラム相の感覚世界』がある。

 本書は、ぜひとも、これからの時代を生きる人間として、ぜひ手に取って、読んでほしい。そのくらい、この本は、発達特性についての理解につながる。僕自身、かなり助かった。読めば、特性を持っている人の世界を疑似体験できる。これを機に、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
井出正和(2022)『発達障害の人には世界がどう見えるのか』SBクリエイティブ
 

 

 

【書評】何故「障害」なんて言われるの!?『発達障害の人には世界がどう見えているのか』

 皆さんは「発達障害」について、どのようなイメージを持っているだろうか?最近、何かと「発達障害」が何かと話題になっている。いつだかの24時間テレビでも自閉スペクトラム症(ASD)が取り上げられ、書店でも「発達障害系」の本が並んでいる。テレビ番組といい、書籍といい、中身を見てみると、どうやら彼らには、強みと弱みの差が大きいだけで、驚くほどの才能を持っていることが見受けられる。言い換えれば、一昔前には「発達障害の人はこういうことができないよね」「この部分で苦労するよね」となっていたが、最近の流れは逆なのだ。「こういう部分は苦手だけど、逆にこの部分はかなり得意よね」ということが、身近に起きている。なので、最近は「自分を受け入れましょう」という形になりつつある。というか、それ以前に、「障害ではなく、一種の性格の凸凹」という見方も出てきている。僕自身、どちらかというと、今まで「発達障害」と言われてきた特性をいくつか持っているが、そのような特性を持っているから得意なこともある。この本を読んで、自分の特性について理解が深まった。今回は、どのような部分が役に立ったのか、面白かったのか、ということを紹介していく。

 まず、この本で最初に取り上げているのが、「発達障害」への理解である。特に「困っていること」だ。この世の中の尺度から行くと、「発達特性」は不利になりやすい。コミュニケーションやその行動の異質性から、仲間外れにされやすいのだ。なので、この本では、その特性を持っていることで、どのようなことに困ってるのかを、紹介している。そのなかで、僕も筆者も口を大にして言いたいのが、「性格に問題で片づけられることが非常に多い。しかし実際は脳や遺伝子のレベルなので、直そうと思っても周りも自分自身も苦労しか待っていない」ということだ。例えばASDを持っている人は、コミュニケーションで問題を特に抱える。共感するという概念自体が少ないため、一方的になりやすい。僕も、脳の構造はASDと診断される人と同じと医者から言われたことがある。これらのことを含めて、筆者がここで強調しているのが、「何故」を深掘りし、理解していくことが重要だ、ということである。

 そして、ここからが本書の真骨頂だが、この「発達特性」といわれているものは、何とかなり役立つ場面が多し、なのだ。例えば、ASDが顕著な人なら、その分感覚が優れていることが多い。絶対音感のような聴覚の鋭さを持っていることもある。なので、音楽の分野で活躍できる可能性が高い。また、その共感力の少なさからくる圧倒的論理力で、数学を極めて活躍できる人もいる。僕自身共感力は低い。しかし、そのおかげで学問に興味を持ち、今では数学の問題をたくさん解き、本も読んでいる。そして、このような書評も書けるのだ。他にも例としては、本書ではないが、ジェフ・ベゾスの例やイーロン・マスクの例が載っている。彼らが得意なのは、何と数学なのだ。抽象的な思考が得意なASD、という人もいる。僕自身、数学を勉強している。これは知覚統合という分野に関係するのだが、ここから語り始めるときりがないので、また今度の機会に記述する。少し脱線したが、要は「ASDだろうとADHDだろうと、その分かなり得意なことも存在するため、そっちを伸ばしたほうがいいんじゃないの?」ということを述べているのである。

 本書を書いた井出正和は、国立リハビリテーションセンター研究所の研究員だ。専門は実験心理学である。立命館大学大学院の心理研究科で博士課程をとっている、心理学の博士である。MRIを使い、感覚過敏や感覚鈍麻についてのメカニズムを研究している。著書に『科学から理解する自閉スペクトラム相の感覚世界』がある。

 本書は、ぜひとも、これからの時代を生きる人間として、ぜひ手に取って、読んでほしい。そのくらい、この本は、発達特性についての理解につながる。僕自身、かなり助かった。読めば、特性を持っている人の世界を疑似体験できる。これを機に、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
井出正和(2022)『発達障害の人には世界がどう見えるのか』SBクリエイティブ
 

 

 

【書評】何故「障害」なんて言われるの!?『発達障害の人には世界がどう見えているのか』

 皆さんは「発達障害」について、どのようなイメージを持っているだろうか?最近、何かと「発達障害」が何かと話題になっている。いつだかの24時間テレビでも自閉スペクトラム症(ASD)が取り上げられ、書店でも「発達障害系」の本が並んでいる。テレビ番組といい、書籍といい、中身を見てみると、どうやら彼らには、強みと弱みの差が大きいだけで、驚くほどの才能を持っていることが見受けられる。言い換えれば、一昔前には「発達障害の人はこういうことができないよね」「この部分で苦労するよね」となっていたが、最近の流れは逆なのだ。「こういう部分は苦手だけど、逆にこの部分はかなり得意よね」ということが、身近に起きている。なので、最近は「自分を受け入れましょう」という形になりつつある。というか、それ以前に、「障害ではなく、一種の性格の凸凹」という見方も出てきている。僕自身、どちらかというと、今まで「発達障害」と言われてきた特性をいくつか持っているが、そのような特性を持っているから得意なこともある。この本を読んで、自分の特性について理解が深まった。今回は、どのような部分が役に立ったのか、面白かったのか、ということを紹介していく。

 まず、この本で最初に取り上げているのが、「発達障害」への理解である。特に「困っていること」だ。この世の中の尺度から行くと、「発達特性」は不利になりやすい。コミュニケーションやその行動の異質性から、仲間外れにされやすいのだ。なので、この本では、その特性を持っていることで、どのようなことに困ってるのかを、紹介している。そのなかで、僕も筆者も口を大にして言いたいのが、「性格に問題で片づけられることが非常に多い。しかし実際は脳や遺伝子のレベルなので、直そうと思っても周りも自分自身も苦労しか待っていない」ということだ。例えばASDを持っている人は、コミュニケーションで問題を特に抱える。共感するという概念自体が少ないため、一方的になりやすい。僕も、脳の構造はASDと診断される人と同じと医者から言われたことがある。これらのことを含めて、筆者がここで強調しているのが、「何故」を深掘りし、理解していくことが重要だ、ということである。

 そして、ここからが本書の真骨頂だが、この「発達特性」といわれているものは、何とかなり役立つ場面が多し、なのだ。例えば、ASDが顕著な人なら、その分感覚が優れていることが多い。絶対音感のような聴覚の鋭さを持っていることもある。なので、音楽の分野で活躍できる可能性が高い。また、その共感力の少なさからくる圧倒的論理力で、数学を極めて活躍できる人もいる。僕自身共感力は低い。しかし、そのおかげで学問に興味を持ち、今では数学の問題をたくさん解き、本も読んでいる。そして、このような書評も書けるのだ。他にも例としては、本書ではないが、ジェフ・ベゾスの例やイーロン・マスクの例が載っている。彼らが得意なのは、何と数学なのだ。抽象的な思考が得意なASD、という人もいる。僕自身、数学を勉強している。これは知覚統合という分野に関係するのだが、ここから語り始めるときりがないので、また今度の機会に記述する。少し脱線したが、要は「ASDだろうとADHDだろうと、その分かなり得意なことも存在するため、そっちを伸ばしたほうがいいんじゃないの?」ということを述べているのである。

 本書を書いた井出正和は、国立リハビリテーションセンター研究所の研究員だ。専門は実験心理学である。立命館大学大学院の心理研究科で博士課程をとっている、心理学の博士である。MRIを使い、感覚過敏や感覚鈍麻についてのメカニズムを研究している。著書に『科学から理解する自閉スペクトラム相の感覚世界』がある。

 本書は、ぜひとも、これからの時代を生きる人間として、ぜひ手に取って、読んでほしい。そのくらい、この本は、発達特性についての理解につながる。僕自身、かなり助かった。読めば、特性を持っている人の世界を疑似体験できる。これを機に、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
井出正和(2022)『発達障害の人には世界がどう見えるのか』SBクリエイティブ
 

 

 

【書評】とうとう発見!これが内向的な人間の強みだ!『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』

 皆さんが、「内向的」という言葉を聞くと、どのような考えが頭に浮かぶだろうか?「しゃべり下手」?「恥ずかしがりや」?この本は、内向的な人間といわれる人々に光を当てた本だ。僕自身、遺伝子検査や性格検査をやってみると、内向的な人間だという結果がよく出る。それだけ、人付き合いが苦手なのだ。この本は、僕のような内向的で物静かな人間にとって、バイブルだ。思慮深い人が持っている強みを、ずらっと列挙している。僕は、この本に救われた。今回は、この本について、紹介していこう。

 まず、僕がこの本で一番注目したのが、「そもそも内向的な人ってどんな人?」という「内向的の定義」だ。そして、このことを話すと、大体の人は口をそろえて「そうなの?全然知らなかった」というのだ。つまり、みんなが考える内向的な人というのは、恥ずかしがり屋で口下手でコミュニケーションがうまくない人を想像する。しかし、この本によると、全然違うのだ。筆者は、「外の世界に対して敏感で、自分の内側に興味がある人」と紹介している。ここがまず面白いところだ。筆者は、この本で、内向的人間の定義から紹介している。そして、「内気」と「内向的」という違いにも着目している。なので、ここでまず皆さんが考えが変わるだろう。

 そして第二に、内向的な人の強みを列挙している。私が興味を惹かれたのは、「内向的な人間は、思慮深く、洞察に優れている。そして、創造的だ。」という点だ。僕は、自分が思慮深いだの、洞察に優れているだの、自分自身に言うつもりはない。しかし、この記述を読むと、少し肩の荷が降りたような感覚になった。僕は、人と関わるのが苦手で、何かあるとすぐに考え事を始めてしまう自分にちょっとしたコンプレックスを抱えていたからだ。しかし、この記述を読んでからは、自分は自分でいいんだ、と認められるようになってきたのだ。つまり、このことから、内向的とか外向的とかというのは、コミュニケーションスタイルも含めた単なる違いに過ぎない、問うことが言えるのだ。

 著者であるスーザン・ケインは、ライターだ。プリンストン大学を卒業し、ハーバード大学ロースクールを修了後、ウォール街の弁護士になる。ライターになった後は、多数の企業でコミュニケーションや交渉についての講演を行う。TED talkにも出演している。

 繰り返すが、この本は、内向的な人間だと自負していたり、コミュニケーションに苦手さを感じている人にはうってつけの本だ。それと同時に、外向的な方々にも、内向的な人間について学べる、良書だ。ぜひ、ご一読してはいかがだろうか?

参考文献
スーザンケイン(2020)『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』古草秀子(訳) 講談社