HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】本来日本ほど性的に進んだ国はなかった『お盛んすぎる 江戸の男と女』

現在どこにでも『18禁』との文字が書かれ性的なものは悪いという印象がつけられている。これは戦後日本にヨーロッパやアメリカからの文化が入って来た時日本の性文化がおかしいと言われ、廃止されてしまったためだ。日本とは切っても切れないその性文化を調査し、まとめたのが本書である。

本書では日本の素人と玄人の性事情が書かれている。例えば素人が一戦交える時は今とは違い、襖を開けると両親が寝ているためいつも声を押し殺し、短時間で。また冬は寒いため火を焚きながら厚着をして、夏のみ肌と肌を合わせることができ、曲芸も出来るなど、やはり日本人は四季を楽しんでいた。そんな素人の普段の生活を垣間見ることができる。性的リテラシーが高く本当にオープンにみんな楽しんでいる。

そして玄人、いわゆる風俗の世界だが、参勤交代のあった時代は、江戸で一年間単身赴任をしている男達が毎年多量にいた。その背景が江戸を風俗の街に変えていたのだ。女の子は10歳の時にはお姉様方の後をついて見学をし勉強を16-17歳でデビュー。すごい人数いた。また、風俗自体はみんな今で言うマッサージに行くような感覚で通っており、葬式の後は喪服でみんなで行くのが普通だったようだ。

最近ではスウェーデンでは性教育の授業がら小学校の時に100時間近く有ったりなど、性的リテラシーが高いと注目されているが、江戸の日本のリテラシーは同レベルで高かったと思う。本書は平成の終わりとともに是非読んでおいてほしい一冊だ。

【書評】石黒正数先生の最新作は近未来SF!?『天国大魔境』

本作品のストーリーは現在2つの世界から展開される。
1つ目の世界は「この世界の端は壁」と信じている施設で育った子供たちがいる世界。子供たちはそれを疑うこともない。そしてその世界にはなにもかもある、まさにユートピア、天国だ。

一方で、ある男女が生活する荒れ果てた世界。荒れ果てた世界で民家に入り込み食べ物などがないかを探しながら生きている。しかし、そこにあるのは人間の屍。2人はディストピアで生活しながら、「天国」と呼ばれる世界を目指し旅を続けている。

と、今のところは今後回収される気配がぷんぷする伏線がばら撒かれ、わっくわくする設定がまさに説明されているところだ。この先の展開が気になって仕方がない!。漫画は多量に読んでいるが、最近で一番先が気になっている作品だ!。しかも安心していいことに作者は『それ町』の石黒正数先生ときた!。

まだ一巻だが一巻だけでも5回はワクワクしながら楽しめる作品なので是非是非読んでみてください!!。

【書評】人よりも殺虫灯に近い人『死ぬこと以外かすり傷』

本書は編集者である萁輪厚介の熱を電波させるためのものだ。たった1年でなぜ計100万部を突破するというヒットが打てるのか、打ち続けられるのか。なぜ彼の周りには多くの仲間が集まるのか。そんな疑問一つ一つの解がこの本には詰まっている。

先に言うなら、きっと熱だ。人間としての熱量が通常の何倍もあるのだ。そしてもう一つ、彼はあらゆる意味で自分を守らない。鎧や衣類を脱ぎ捨てることで、彼と他者の距離は限りなくゼロになる。結果、焼け焦げる人があとを絶たないのだ。

彼は人間は感情の生き物だと言う。だからこそ、同じ船に乗っているというムードになるよう意識をしているのだという。一度火をつけてもそこで満足はしない。そこから如何に一人一人の火を集めて大きな炎として燃やし続けることができるかが重要であり、その熱狂のためには著者本人が一番手段を選ばない。

中途半端に生きている人はぜひ本書を読んでほしい。そこからは見えない視界があるということがわかるはずだ。そしてそのあとは熱狂しよう、かすり傷をたくさんつけながら進もう!

死ぬこと以外かすり傷

死ぬこと以外かすり傷

【書評】何が正解かではなく、あなたが選んだものが正解『まんがでわかる LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略』

人の平均寿命は100歳、メディアからそのような言葉を聞くことが多くなった。長生きできるという嬉しい情報であるはずだが、二言目にはネガティブな情報が流れる。

「だから老後はこれだけの貯蓄がなくてはならない」
「今からこれだけの保険に入っておかねばならない」
「あなたの仕事は将来的に価値がなくなっていく」

それぞれの発言の裏には買わせたいサービスが見え隠れしている。商売トークとはいえ、いささか不安を煽りすぎだ。これらの情報を受け取る人は大きな不安を抱えることになる。しかし安心してほしい、現在テレビCMなどであなたの不安を煽る情報は、“あなたが今と何も変わらない”ことを前提に流されている。

本書の登場人物は100年生きることを前提にライフスタイル・ワークスタイルの見直しをし、生きる中での価値観も変わっていく。“こうあるべき”という社会の常識に追い詰められていた日々から、新たな選択をし前に進んでいく。もちろん人生に正解は無い。過去と決別し新たな未来に踏み出した登場人物達だが、全てハッピーエンドではなく、悩み続ける。

とある家族と短期留学生のエルザの人生が、ほんの少し交わることで生まれる“新たな人生の在り方”に触れてほしい。

 

まんがでわかる LIFE SHIFT

まんがでわかる LIFE SHIFT

 

 

【書評】カクカクしたのがカッコイイ 『ちびしかくちゃん(1)』

本書は、著者さくらももこ氏の作品である「ちびまるこちゃん」を著者、自らがパロディした作品である。

主人公は一見「まる子」と見間違えるほど、よく似ているが、その特徴は顔が四角い「しか子」だ。しか子一家は、全員顔が四角い。そのため、ストーリーもほのぼのというより何だか「角」がある。

主な登場人物は「ちびまるこちゃん」とほぼ同じだが、名前や雰囲気などを少しかえている。いつも優しいおばあちゃんも本書では、しか子の言動に対して、激昂し「人間失格だ!」と言ったり、お姉ちゃんは、しか子と同じ部屋が嫌だと言い、同じ部屋にいたいのなら「気配を消して!」という始末だ。なんとも、しか子には誰もが冷たい。

そんなしか子は、学校で友達から顔が四角いと、からかわれる。「なぜ顔が四角いのか?」と家族に疑問をぶつけると、家族は「カクカクしているのがうちの特徴だ!」と言い、取り合わない。

結果、四角はかっこいいから、嫉妬されているのだ。というところで、落ち着く。恐らく「ちびまるこ」の「丸」に対して、「四角」なのだと考えられるが、何とも理解不能だ。しかし、それもまた面白い。

本書はまさに、さくらももこワールド 全開の独特な世界観が、読んでいると自然と笑みを浮かばせる。そのため、人前で読むことは避けた方がいい。恐らく周りからみれば「怪しい人」にうつるだろう。

本書は短編漫画24巻により、構成されている。1巻は約5ページのため、忙しい人でも少しずつ隙間時間に読むことが可能だ。さらに本書の特典として、スペシャル漫画「シカデレラ姫」 が掲載されている。

また、偶然にも先日、一緒に仕事をしている静岡県出身の人が、さくらももこ氏の同級生だと知った。当時はバブル真っ只中の学生時代、みんなが遊んでいたときも、いつも黙々と漫画を書き続け、その時に書いていたのが「ちびまるこちゃん」だったらしい。さくらももこ氏の学生時代という貴重なプライベートを知ることができた。

本書は、さくらももこ氏の新たな一面を垣間見ることができた一冊である。

【書評】PSさくらももこ先生、この本ブラックジョークが過ぎますよ 『さくら日和』

1999年、この本の第一版の年。裏表紙を開いて確認するとそんな年に出版された本だったらしい。それより以前、さくらももこ先生のエッセイは欠かさず読んでいた。しかし、その年、僕はチャリンコで世界一周するんだ!という野望を抱いてカナダに飛び、ガチャガチャペダルを回しながら南下してた年。この本が出版されたことは知らなかった。
その後、1年2ヶ月チャリンコ旅行に費やして、金尽き女の子に溺れて世界一周はおろか、中米のコスタリカ迄しかたどり着けなかった僕は、なんとなくやりきれなかった気まずい思いで帰って来て、さくら先生のエッセイの事はすっかり忘れて普通のサラリーマンとして、日本社会に組み込まれていった。
さくら先生、こんな本を出してたんですね。冒頭、最初のエッセイを読んで、思わず本を閉じてしまいました。なんとなく、さくらももこのエッセイを読みたいと思って、メルカリに出てた古本をまとめ購入し、この本を最初に開いたのですが、辛すぎます。

ネタバレだけど書きます。
さくら先生はこの当時、友人だった賀来千香子さんの兄の助けもありなんとか離婚を成功させていて、そのお兄さんの鮮やかな手腕から自分の会社にそのお兄さんを引き入れて働いて欲しいと考えていました。千賀子さんもそれに大いに賛成して、なんとか一部上場企業のお兄さんを2人で呼び出して、説得を試み、転職させようとします。
その顛末が面白可笑しくさくら文学で書かれているんですが、お兄さんを口説き落とす文句が、、、ざっくり書きます。

「もし私が死んでも会社は安泰です。なぜなら印税というありがたいものがあるからです。もし、私が死んだら、各書店は追悼記念の企画をすると思います。その時にお兄さん、あなたの手腕が必要なんですよ!」

辛すぎて一旦本を閉じました。当時、本人も賀来千香子さんも、口説かれてるお兄さんも、誰もそんな自体、想定してなかったでしょう。今、本屋さんで追悼企画を見てしまったら、賀来千香子さんのお兄さんの頑張りなのだろうかとか考えられずにいられないので、本屋で号泣してしまうへんなおっさんになりかねないので、本屋には近寄れません。

こんな話だけではなく抱腹絶倒のエッセイが詰まったこの本。お買い得ですよ〜!

メルカリで古本買ってしまってすいません。集英社さん、電子化して下さい!
もう一回、買いますよ!

さくら日和 (集英社文庫)

さくら日和 (集英社文庫)

【書評】そこにはどんな付加価値があるのか『不可能を可能にするビジネスの教科書 星野リゾート×和田中学』

本書は星野リゾート代表取締役社長である星野 佳路、教育改革実践家の藤原 和博の対談を中心に綴られている。学校教育とリゾートビジネス、一見するとどのような関係があるのだろうかと思うが、ここにはいくつもの共通点がある。星野氏の考えが藤原氏の教育にも通じ、またその逆もある。一つの理念だけでは見えなかったものが、教育とリゾート、相対的に比較をすることでその姿を表す。

2つの領域で、いや全ての仕事において追求すべきことは本書にもある“顧客満足度”と“付加価値”を追求するマネジメントだ。付加価値を高め顧客に満足してもらうためには、これからの時代“情報処理力”ではなく“情報編集力”が必要とされるという。成熟社会になったことで求められるものはみんな一緒の幸福感ではなく、一人一人にあったサービスが教育にもリゾートにも求められる。与えられた問題を解けることは人の能力としてはそれほど重要ではなく、いかにその人の求めることを読み解き提供するかが今後はどの仕事においても求められるのだ。

本書は組織のしがらみや権限などの制約に邪魔をされて、本来あるべきビジネスができていないと悩んでいるあなたに読んでほしい。何一つ変えられることは無いと思っているあなたに、きっとヒントをくれるはずだ。

【書評】日々何となく働いているサラリーマンの必読書『お金と時間の悩みが消えてなくなる 最高の時短』

1日たった2時間の労働で、月1000万を稼ぎ出す米山氏の思考法、行動法をまとめた一冊。
「この仕事を終わらせる」「今日は○○をする」そんな目先の事ばかりあなたは目が行っていませんか?

大事なのは「人生」レベルで目標を設定すること。
人間が頑張れるのは目標を達成したときの「達成感」があるから。
就職活動で例えれば、多くの就活生が「大手企業に就職する」ことをゴールにしているため、就職後にやることを見失う。

どう生きたいか?が決まれば、そこから逆算して今やるべきことが決まってくる。
やるべきことが決まれば、無駄な時間を使っている暇はない。
定時後には予定を入れてしまう。睡眠と食事と自分の時間を死守する。
今までの働き方の「常識」の捨て方、自分のための人生の生き方を本書から学ぶことができる。

本書は「自分の時間の大切さ」を実感させてくれる貴重な1冊である。
自分含め日々何となく働いているサラリーマンの皆様、1日1日を充実させたい皆様にぜひ読んでいただきたい。

お金と時間の悩みが消えてなくなる 最高の時短

お金と時間の悩みが消えてなくなる 最高の時短

【書評】お金が、人を人にする 『インベスターZ(1)』

中高一貫校に入学した主人公は、野球部への入部を希望していた。しかし先輩につれられ、突然入部することになったのは投資部だった。

入学金も授業料もタダ。その理由は投資部に所属する学生が、約130年間極秘に投資を続け、学校の経費を稼ぎだしていたからだった。

先が見えなくても、なぜかわからなくても「なんとなくこの人についていきたい」主人公のようにそう感じる時も稀にある。自然に身を任せることによって、想像もしていなかった新たな世界へと導かれていく。

そこでは自分の人生にとって何かしらの意味があるのではと思えることに出会う。主人公にとっては、それが投資の世界だった。このようなストーリーで、本書は展開していく。

本書のストーリーを追っていくと、自然と投資の極意や、そもそもお金は、いつ誰が作ったのか等、お金の歴史、文明の発達についても学べる。

また、巻末には投資に関するQ&Aが掲載されているため、投資初心者でも知識を得ることができる。

さらに、投資経験豊富な人にとっても、初心に立ち返るべく、投資やビジネスに関する多くの格言が、主人公を通して学べるため、自分の投資経験を振り返り、今後の参考にすることもできるだろう。

お金は「心と心を結ぶコミュニケーション」そう教えてくれた一冊であった。

インベスターZ(1)

インベスターZ(1)

【書評】自分の力で飛ぶか、それとも飛ばされるか『思考の整理学』

“優秀な人間とは何か”この問いの答えは、時代によって変わるだろう。現代に優秀と評価される人でも、数十年前ではその限りではない。もちろん逆も然りだ。

ほんの少し前まで、学校教育が作り上げる“優秀さ”は、記憶と再生が当てはまる。如何に言われたことを飲み込み、実行できるかが“優秀”の定義だ。はたしてこの考え方が今に当てはまるだろうか、答えは否だ。今はあらゆる生き方や仕事において正解は無く、あるのは個々人の最適解だ。

本書では2種類の人材をグライダーと飛行機で表現している。どちらも飛んでいる姿はさして変わりはしない。大きな違いは自分で飛んだのか、それとも誰かに飛ばされたのかの違いだ。個々人で最適解を追い求めていくこの時代に、誰かに飛ばされるその先に幸せがあろうとはあまり想像はできない。少なくともこの時代は、自分の力で飛ぶことが求められる。

自分の力で飛ぶために一体どうしたら良いのか、それはきっと考えることだ。迷ったら本書を手にとってほしい。本書では考えることの豊かさそのものや、考えることの手法が整理されている。

思考のプロセスをアラカルト形式でつまみ食いできる本書はとても貴重だ。初めから順序よく読む必要はなく、関心を持ったテーマから読み進めてほしい。

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)