“優秀な人間とは何か”この問いの答えは、時代によって変わるだろう。現代に優秀と評価される人でも、数十年前ではその限りではない。もちろん逆も然りだ。
ほんの少し前まで、学校教育が作り上げる“優秀さ”は、記憶と再生が当てはまる。如何に言われたことを飲み込み、実行できるかが“優秀”の定義だ。はたしてこの考え方が今に当てはまるだろうか、答えは否だ。今はあらゆる生き方や仕事において正解は無く、あるのは個々人の最適解だ。
本書では2種類の人材をグライダーと飛行機で表現している。どちらも飛んでいる姿はさして変わりはしない。大きな違いは自分で飛んだのか、それとも誰かに飛ばされたのかの違いだ。個々人で最適解を追い求めていくこの時代に、誰かに飛ばされるその先に幸せがあろうとはあまり想像はできない。少なくともこの時代は、自分の力で飛ぶことが求められる。
自分の力で飛ぶために一体どうしたら良いのか、それはきっと考えることだ。迷ったら本書を手にとってほしい。本書では考えることの豊かさそのものや、考えることの手法が整理されている。
思考のプロセスをアラカルト形式でつまみ食いできる本書はとても貴重だ。初めから順序よく読む必要はなく、関心を持ったテーマから読み進めてほしい。

- 作者: 外山滋比古
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/04/24
- メディア: 文庫
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