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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】礼儀正しさの真価 - 諏内えみ『育ちがいい人だけが知っていること』を巡る批判的考察 

2020年に発売され、一部で話題となった諏内えみの『育ちがいい人だけが知っていること』は、話し方、食べ方、ふるまい、お付き合いの心得など、'育ちのいい人'にとっては当たり前だとされるマナーと常識を250項目にわたり解説しています 。
しかし、その内容とアプローチについては、ある程度否定的な視点を持つ人もいるかもしれません。
本書が提唱するマナーと常識は、社会的なコミュニケーションを円滑に進めるための一つの道具であると理解できます。しかしながら、過剰なマナー意識は、本来の目的である「自然なコミュニケーションの促進」を阻害する可能性があります。そのため、これらのマナーと常識を絶対的なものと捉えるのではなく、コミュニケーションの一部として適切に利用することが重要であると考えます。

また、本書では「お受験」に有利と述べられていますが、マナーやエチケットが教育の成果を決定する唯一の要素であるかのような印象を与えることは、教育の本質を見失う可能性があります。知識、思考力、創造性、そして倫理的な判断力など、多くの重要な側面が教育の目標であるべきです。

さらに、本書のタイトルにある"育ちがいい人だけが知っていること"というフレーズには、ある種のエリート意識や排他性が感じられます。それは、一定のマナーと常識を持つことが「育ちの良さ」を示す唯一の指標であるかのような印象を与えかねません。しかし、人間の価値は、単なるマナーや常識の有無だけで決まるものではないという視点も重要です。

結局のところ、読者自身が本書の内容をどのように解釈し、どの程度取り入れるかを考えることが重要です。それぞれの人間関係や社会的な状況において、適切なマナーとは何か、自分自身で判断する能力が求められます。そして、それが真の教育の成果であると私は考えます 。