HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】能登半島地震を経て見つめ直す - 『天災から日本史を読み直す』に学ぶ歴史と防災

先日の能登半島地震を経験し、防災への意識が高まる中、「天災から日本史を読み直す」という磯田道史氏の著書を読みました。この書籍は、歴史上の重大な天災が日本の歴史の流れにどのような影響を与えたかに焦点を当てています。

著者は、天正地震の際に倒壊した近江の長浜城の例を挙げ、時の城主・山内一豊が愛娘を失いつつも、震災孤児を育てたエピソードを詳述しています。これは、自然災害が個人の運命に深刻な影響を及ぼすことを示しています。また、伏見地震が豊臣政権崩壊の始まりとなった事実を分析し、自然災害が政治的・社会的変動をもたらすことの実例を示しています。

さらに、安倍晴明津波防止伝説や、台風を契機に佐賀藩が軍事大国に変貌した事例、1707年の富士山噴火の史料分析など、歴史的な天災が社会や文化に与えた影響を深掘りしています。

関東大震災の章で紹介されている寺田寅彦の提言は、今日では「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉として広く知られており、これは災害への備えがいかに重要かを強調しています。特に地震のような間隔を空けてやってくる災害を考えると、平時からの防災意識の強化が必要であることを示唆しています。

全体としては、歴史をただの出来事の連続としてではなく、自然災害というレンズを通して見ることで、現代にも通じる教訓を見出すことができました。