HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】乗り越えられない苦難はない『見えないからこそ見えた光』

著者は、アメリカのサンディエゴで指鍼術を施す日本人セラピスト、ライフコーチ。
16歳のときに視力を失い、何をするのにも他人の助けが必要となることに嫌気がさし、自殺を試みた人物。
盲学校の高校を卒業後、鍼灸の専門学校へ進学。指導者となるべく筑波大学の理療科へ進学したあと、そのまま大学付属の鍼灸科教員となった。
倍率の高いポストに就けた理由は学業成績もあるが、休学中にアメリカに留学した経験と英語が喋れたから。

視覚障害者は限られた範囲の中で生活するイメージがあるが、著者は正反対。
国体の三段跳び日本記録を樹立したばかりかトライアスロン、登山、スキーまでやってのける。
結婚相手は大学勤務中に知り合ったアメリカ人女性。
順風満帆な生活が続くと思えたが、妻が妊娠したタイミングで子供の将来を考えてアメリカに移住。
せっかく手にした教員の地位やキャリアを捨て、無給で家事と子育てをする生活に落ち込む日々が続いた。
娘の手がかからなくなった頃、周囲の力を借りてセラピーを開業。
この頃からヨットにのめり込むようになる。
もちろん、健常者が同乗してのセーリングではあるが、操船技術を高めたことで、思わぬチャンスが舞い込んだ。
お笑い芸人「間寛平」が、アースマラソンで使用したヨットで太平洋を横断するチャンスをつかんだのである。
話はとんとん拍子に進み、ニュースキャスターの「辛坊治郎」が同乗者となり、太平洋横断がテレビの企画となった。
結局、出港6日後にクジラと接触したことでヨットは沈没。救命ボートで海をさまようことになったが、幾重にも幸運が重なったことで生還。
生還後に「無理な挑戦をした」ことに多くのバッシングを受け心が病みそうになったが、数年後にはそのプレッシャーを跳ね返してヨット未経験の大富豪と横断をやり遂げた。

50歳にして、人の10倍の山谷を乗り越えた著者が窮地に陥ったときの心の在り方を学べる貴重な一冊。

『見えないからこそ見えた光』
作  者:岩本 光弘
発売日:2019年2月15日
メディア: ユサブル