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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】戦国シリーズ3→天下布武、目標は明確でシンプルに!『織田信長(2) 桶狭間の巻』

「天下を取るか、尾張のうつけで消えゆくか?」織田信長のこのセリフが印象的です。2巻は歴史の分岐点ともいえる桶狭間の戦いです。織田軍が数的にも不利な状況にありながら、どのように今川義元の首を取って天下に近づいたのか。これは会社や仕事でもいえるように目標は明確でシンプルに勝利の定義を部下に示すことです。そして、今川義元の首を取った時の第一褒章は誰に与えるか。織田信長のセリフと共に見ていきたいと思います。

 織田信長木下藤吉郎(後の秀吉)を使い、藤吉郎が間者の梁田政綱を使って、今川軍の情報を収集し、足止めを仕掛けます。当時、今川義元といえばエリート的な存在でした。織田軍の城を落とした今川軍が興をとっていることを知り、政綱が地元民に成りすまして食べ物や酒を持っていきます。大将の今川義元は織田軍の地元民が今川軍になびいたと感じ、気分良くして今川軍兵士と共に酔って興をつづけます。酔った兵士は鎧を脱ぎ捨てる者もいました。

さぁ、それを見計らっていた織田信長は一気呵成で攻めます。その時、織田信長のセリフは
「義元以外の首級はあげるに及ばぬッ。重い首級を持ち歩いて、大事な主将をのがすのは、織田の上総(かずさ)が戦にない手じゃ」
狙いは大将の今川義元の首だけ!それだけが目標であることを示した織田信長は進軍を命じます。酔っていた今川軍は脆く、次々にやられていきます。そして、最初に服部小平太が今川義元に襲い掛かり手傷を負わせますが、返り討ちに合いかけます。つづけさまに毛利新助が今川義元を襲って首を取ります。これが桶狭間の戦いの終焉です!今川義元の首だけを取ることが目標であり勝利であることを兵士にわからせて向かわせる。単純明快でわかりやすく、兵士のベクトルをそろえたとも言えるでしょう。

さて、織田信長は誰に第一褒章は誰に与えたのでしょうか。あなただったら誰に与えますでしょうか?勇猛果敢に立ち向かった一番槍の服部小平太?勝利の証である首を取った毛利新助?間者を放った藤吉郎?いやいや、いち早く今川軍の情報を収集した梁田政綱です。
『「梁田政綱!改めて沙汰するが、今日の功名第一はその方じゃ。よくぞ田楽狭間に義元の興を停めたを知らせて来た」・・・今までの例によれば、敵の大将首をあげた毛利新助の手柄が第一と評価されるにきまっていたのだ。木下藤吉郎だけが、意味ありそうにニヤリと政綱に笑って見せた。』
それまでの慣例にこだわらずに、勝利に導いた情報を知らせた政綱に第一褒章を与えたのです。首を取るための本質は何かをわかっているのが良く分かります。これが織田信長のセンスなのでしょうか。ちなみに、田楽狭間は桶狭間のことです。

仕事も目標が大事と言われますが、戦国時代は兵士(社員・部下)の勝利を定義づけ、ベクトルを合わせる重要性を改めて理解しました。そして、その後の褒章も見誤らず、本質を見極めて与えなければならないのですね。織田信長をみると戦や組織をまとめるセンスの良さがよくわかり、もし、現代で経営をしていたらどんな人になっているのかと考えてしまします。組織を運営している人、部下がいる人にもおすすめの一冊です。

1巻の書評はこちら↓
https://bookrev.horiemon.com/entry/2023/10/09/220000

発行 1987/9/8
著者 山岡 荘八
出版社 講談社