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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ボジティブは運命を拓く。『運命を拓く 天風瞑想録』

中村天風という人の名を聞いたことがあるだろうか。かの松下幸之助から野球の大谷選手に至るまで、彼を敬う人は枚挙にいとまがない。となると読んでみたくなる。

明治9年に生まれ、旧日本軍のスパイとして日清日露戦争時に満州で暗躍をした彼は、その後当時不治の病であった結核を患う。しかしアメリカやヨーロッパで宗教や著名人にその救いを求めるも芳しくなく、失意の中出逢ったヒマラヤのヨガの修行。なんと病が治ってしまう。そしてその後を日本で人に人生訓を教える道に入る、そんな経歴の持ち主中村天風である。

本書を貫く考えかたの一つのは、「心を積極的に」。いまでいうポジティブ心理学に近い。生きていること自体に感謝と歓喜でいろ、と解く。

(引用)′たとえば時候のようなものも、暑いときでも「暑いなあ、やりきれないなあ」これがいけない。暑い寒いは感覚だからそれはいって悪いとはいわない。「暑いなあ」といったなら、あとにもっと積極的なことをいったらよいではないか。「暑いなあ、余計元気が出るなあ」と。′

そして逆に「恐怖」という文字を心から消せと説く。

(引用)′いずれにしても、感情というものは、その種類が、いかなるものであろうと、我々の肉体や、人格に影響せずにはいられないように出来ているのである。だから、常に感謝と歓喜という積極的な感情を持っていれば、肉体や人格に積極的な、非常に大きな、良い影響を与えるけれども、反対に、怒ったり、怖れたり、悲しんだりする、消極的な感情や情念は、実に悪い影響を持ってくる。 中でも、この恐怖というものは、一番、恐ろしいほどの印象力をもっている。印象力を持っているのであるから、早晩、その怖れている事柄が、現実になって、形象化されるのが当然である。′

確かに事実をどう受け止めるか、心の持ちようでいくらでも変わってしまう。

少し難解な文章や、独自の用語も色々と出てくるので、天風哲学は容易に掴めるものではない。しかしこの「心を積極的に」は悩みや病気を抱えている人に響く考え方であり、態度から変えることは今直ぐできることだろう。

発行日 2017年4月1日
著者 中村天風
出版社 株式会社講談社