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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】6年連続人口増加トップとなった立役者達の物語『流山がすごい』

 月曜日の朝7時出勤前、千葉県流山市にある「流山おおだかの森駅」のビルに園児を預ければ指定の保育園まで届けてくれ、帰りは最長夜8時まで同じ場所で園児の延長保育が受けられる「送迎保育ステーションがある」。そんなサービスを聞きつけ流山市には様々な地域から人が集まり、今では千葉のニコタマと呼ばれている。この本は流山市に住んで30年の著者が流山市のここまで歩んできた道のりやこれから流山市で活動をしようとする人にインタビューをしてまとめた本になります。
 
きっかけとなったのは「つくばエクスプレス」開業が大きいが、こちらは流山市の元市長が足しげく霞ヶ関に通い詰めると同時に、地域住民に丁寧に説明しながら実現させた実績が書かれており、この人のおかげで基礎が築かれました。建設決定後にはアメリカで都市計画のプロとして仕事をしていた井崎氏がひょんなきっかけから流山市を見つけ住むことになり、その都市計画のまずさを感じて2度の選挙を戦って市長になったこともプラスになります。そして市役所に初めてマーケティング課を設立して大きな成果に繋げてます。
 
また、流山市で和菓子屋の開業やサッカーチーム設立にチャレンジしている人にもインタビューをしており、本人の取り組みだけでなく、そちらを支援すべく行政側も商工会議所の「起業塾」などの活動を積極的にしていますし、観光や企業誘致においては古民家の再生や巨大倉庫の誘致などを積極的に行い、地元の雇用を捻出してます。

ここで面白いのは倉庫に建設にあたり20%緑化を義務づけたり、地域住民にも使っていただける施設を入れたりと倉庫のイメージを変え、倉庫というものを地域住民にとって必要なものにする活動が、地域貢献になるんだなと思いました。

まだまだ課題はあるものの、そこも含めて歴史的・包括的に書かれている面白い本であり、同じく関西で人口増加中の明石市の軌跡が書かれた泉氏の『社会の変え方』と合わせて読んでみると、さらに都市計画やまちづくりへの理解が深まると思う1冊でした。
 
著者 :大西康之
出版社:新潮新書
発売日:2022年12月19日