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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】不愉快な隣人とどう付き合うかを歴史から学ぼう!『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』

 

日本人には不思議な行動習慣があります。ハロウィン・クリスマス・葬式・初詣をほとんど人が違和感なく受入・参加しています。このような行動から見てインバウンドに期待する日本人には異文化を受け入れる寛容さがあると思われますが、残念ながら国際化や外国人、地元民以外に対して、つまり自分自身に降りかかる場合には、どの国よりも保守的で寛容とは言えないデータもあります。

このような前提に立つと、これからの日本に必要なテーマの1つは「寛容」でないかと思いますが、その「寛容」という言葉も曖昧ですので、過去の歴史を見ながら「寛容」を考えていくという本です。

この本の主人公は移民としてイギリスからアメリカに渡ったロジャー・ウイリアム氏です。彼は啓蒙主義以前のアメリカ先住民とイギリスからの移民との間で行われた活動を通じて、イギリス側の植民地対応という視点ではなく、人として平等に扱うべきだと説き、彼の活動を通じて寛容・不寛容というものを考えていきます。当時としては政教分離の礎ではないか?という先進的な活動です。

彼の活動や人生を通して、ウイリアムズ氏が考えた「寛容」とは人の良心に対しては敬意を払い(今回の場合は改宗を強制しない)、最低限の礼節をもって接すること。と私は理解しました。
 
この本を読んだ感想としては、改めて人として発信側・受取側の両立場でこういった「寛容の精神」を忘れずに生きるべきと感じ、「寛容」という言葉や行動の難しさを感じた本でした。ダイバーシティや寛容さが求められるこれからの時代に向け、是非読んでみてはいかがでしょうか?

著者 :森本あんり
出版社:新潮選書
出版日:2020年12月16日