HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】本で笑うことってあまりないのに。『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

 

100文字で済むことを2000文字で伝える作家として有名な、岸田奈美さんの一作。岸田さんの周りで起きた出来事を話しているのだが、とにかく面白い。タイトルの印象とは正反対で、9回笑って1回泣ける。そんな本です。

岸田さんの母親は車椅子で生活していて、弟は障害を持っている。父親は子供の頃に他界しており、そんな彼女の周りでは、トラブルがいつも絶えない。普通の人なら自分の置かれた環境に悲観的になり、愚痴のひとつでもこぼしてしまいそうだが、岸田さんはひと味違う。

例えば、お金を持ってない弟がコーラを持って帰ったきた。聞いてみると、店員がサービスしてくれたらしく、家族で謝りに行った。そんな話があるが、岸田ワールドにかかれば、一気に世界が拡がっていく。そこかしこに話が脱線し、絶妙な例えで笑わせくる。考えもしなかったけど、言われてみればたしかにそうだよなといった感じで、私も何度その例え話をメモったことか。

でもそんな笑える文章から、岸田さんの家族への愛が溢れ出ている。愛したのが家族だったとはよく言ったもので、お腹を抱えて笑いながらも、胸がジンとなるのはなかなかできない経験だった。

岸田さんは普段はnoteで執筆している。最近はパラリンピックでコメンテーターの仕事をしたらしい。そこで起きた出来事が、岸田節炸裂で書かれているので、ぜひそちらも読んでみてほしい。

こんなに面白くて、優しくて、読みやすくて。歳の近い彼女にちょっと嫉妬しちゃいました。