しない経営という思わず興味の惹かれるタイトルですが、そのまま真似をすると大火傷すること間違いなしの内容。表面の綺麗に見えるところに惹かれるのは当然ですが、水面下ではやるべきことをしっかりと愚直に実行し続ける泥臭さを感じるのはわたしだけではないはず。成功への向き合い方を教えてくれる良書です。
ワークマンで行った施策は大きく分けて2つ。「しない経営」と「エクセル経営」が企業風土を変える原動力となっています。特にエクセル経営はどんな会社にも導入できそうと感じる魅惑的な響き。やってみるのはとっても簡単、しかし根付かせるには適切な環境を与えなければ風土として育つことはないでしょう。
その環境作りにおいてのポイントが体験談として書かれており、社員全員が経営に参加することの重要性と効果が綴られています。2-6-2の法則が企業に当てはまるとすれば、たった2割の優秀な社員が利益の8割を稼いでいると言われます。しかし、ワークマンでは残りの8割が活き活きと力を発揮できる環境を整えて、全員が自分も主役になれるというモチベーションで働いている。そんな未来的な環境を構築した結果が、営業利益が2年で181%成長という数字にも表れています。
ダグラス・マクレガーが唱えるY理論的な、人間を心から信じる経営の在り方。やらないことを決めている戦略的な経営方針。そして、夢や興味を原動力とする現場主導の環境。在庫データすらも持たなかったアナログ感覚的企業だったワークマンが変わっていく要素は、やり切ることを信念とした著者のサーバントリーダーシップでした。
まだ道半ばというワークマンの風土変革、これからも目が離せません。