本書は“会社を買う”という、個人の生き方の選択肢を提示している。感覚的には起業し会社を作ることの方が壁は低いように思っていたが、そうではない。著者によると、起業し残る会社は10年で2割ほどらしい。ゼロから作りその2割になるよう努力するよりも、初めからその2割の中から選び自分の会社にする方がはるかに合理的なのだ。
そうはいっても“会社を買う”ということに対し、やはり難しく感じる。本書はその不安一つ一つに対し、丁寧に説明してくれている。
例えば会社を売りに出していると聞くと、“潰れるんじゃないか?”という考えが浮かぶ。実際にはその限りではない、1つは後継者不足だ。事業として上手くいっていても、経営を継いでくれる人間がいないそれだけの理由で畳むか、事業譲渡すべきか悩む経営者は実に多い。日本の会社の実に多くが後継者を探してフェアなM&Aを心待ちにしているのだ。
自分の人生をより楽しいものにしたい方は、ぜひ本書を手に取ってほしい。起業やフリーランスもいいが、M&Aは他者の文脈から作られた事業を継承できることに魅力があると思う。おそらく自分なら思いつかなかった、ここまで大きくすることはできなかった、そんな会社に巡り会えたら仲間になるための300万円は惜しくないように思える。
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)
- 作者: 三戸政和
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/04/20
- メディア: 新書
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