本書は、歴史を変えたダーウィンの進化論を素晴らしい200枚以上の写真を用い、視覚的に訴えかけた一冊である。
はじまりは、ダーウィンとウォレスが進化論を誕生させた経緯から語られる。当時科学界は聖書の創造説にどっぷり浸っており、ダーウィンは大騒動を巻き起こすことを予感し、自らの理論を20年もの間ためらっていた。親しい友人に宛てた手紙の中で、新たな発見を公表することを「殺人の告白に等しいこと」と表現していることからも苦悩が読み取れる。
もし、同じ考えに至ったウォレスがいなかったらダーウィンは理論をまとめておらず、今でも創造説が有力だったかもしれない。
そこから太古の歴史、鳥類、変温動物、植物、昆虫、哺乳類、そして人類の起源という纏まりで概説がなされ、それぞれの章ごとに美しい写真が続く。『ナショナルジオグラフィック』誌の特集の撮影をこれまで40本以上手掛け、数々の写真賞を受賞しているロバート・クラークによる写真は、圧巻のものである。
様々な生きものの歴史や解説、ダーウィンの苦悩や発見、そして予言とまで言われるほどの仮説には驚かされる。また、間に挟まれた用語解説がコンパクトに良く出来ていて理解を助けてくれるのも嬉しい。
少し値は張るが大人から子どもまで楽しむことが出来る、読む価値のある一冊だ。
ビジュアル 進化の記録: ダーウィンたちの見た世界 (一般書)
- 作者: ロバートクラーク,ジョセフウォレス,Robert Clark,Joseph Wallace,渡辺政隆
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2017/12/20
- メディア: 大型本
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