主人公は本屋を営んでおり、お店の近隣に大型書店が開店するなどの逆境を乗り越え、少しずつ売り上げが向上していきましたが、それに伴い、「この先は何をしていけば良いのだろう…」と将来に対する不安も大きくなっていきました。
主人公は、手に入れたいと思っていたものを実際に手に入れた後に、「幸福」を感じることができず、今度はそれを失ってしまうのではないかと「恐怖」を抱きます。
そして、本屋で知り合った自称、「日本一裕福な人間」にそのことを相談し、成功した結果トラックがもらえるとしたらどうする?と聞かれ、いらないと答えます。
主人公がトラックをいらないと答えた理由は、今の自分に必要が無いからであり、トラックをどう使えば良いかわからなかったからです。ですが、世の中にはそのトラックを使って移動式の本屋をしたい人もいます。
トラックは大きいものを運びたいという思いで作られました。先にトラックを作って、後から何に使おうと考えられたわけではありません。『大きいものを運びたい』と思っている人には必要で、その思いが無い人には必要がありません。
結局、何に使うか分からないけど、持っていた方が良いという理由で何かを手に入れても、それがトラックであれお金であれ、手に入れた時に感じる不安は一緒です。
考えるのは、どうしてお金を儲けなければいけないのか?ということになります。
どうしても達成したい夢がある。そのためにはお金を稼ぐ必要がある。
どうしても達成したい夢がある。そのためには会社を創る必要がある。
ここが合致していると、目標が達成した時には不安ではなく感謝が生まれますが、目的がなければ、どれだけ多くのものが手に入っても、不安に苛まれることになります。
あなたは、なぜお金を儲けたいのですか? そのお金で何をしたいのですか?
使い道の無いお金を稼ぐことと、使い道の無いトラックを手に入れること、何の違いがあるのでしょうか?
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