本書の著者はアップルでI PODやMACなどのハードウェア製品の品質保障部のシニアマネージャーとして勤務していた経験から、なぜアップルは「世界最強」と言われるまで成長したのかを明かされている。
社内では、「これから何が流行るのか」を考えるのではなく、自社が顧客に対してどんなメリットを提供できるかを考え、そこから製品やサービスのコンセプトを定義していくのが大事な点であるという。
そして、明快なコンセプト、優れたデザインを開発工程の上流で生み出したうえで、そこから次の段階の開発や製造でのコストの高騰は必ず製品の最終価格に跳ね返る。なので、それから先はケチケチとシビアにやっていく。これがアップルの実像なのである。
また、企業内での競争体質というのは極めて有効な手段であり、日本企業でも、もっと積極的に取り入れていいのではないだろうか。ただその一方でアップルのそれは行きすぎているように感じていたのも実情だ。社内は本当に激しい競争の場で、社内政治のし烈さはシリコンバレー屈指といわれ、ポジションが上がれば上がるほど激しさを増していくのだ。
著者は思いがけない偶然からアップルというグローバル企業の中枢で働く機会を得たが、現在日本でも社内の公用語を英語にしたり、外国人採用を増やすなど、急ピッチでグローバル化を推し進める会社が増えつつあるが、おそらくそう遠くない将来、本書でつづったような就労体験を多くの日本人が日本にいながら体験するときがくるでしょう。
ならば、そういった時代がいつきても対応できるように本書が少しでも参考になればいいのではないだろうか。
僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)
- 作者: 松井博
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/04/10
- メディア: 新書
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