日常の様々な場面においての作法。
抽象的なことは知っていても、具体的なことについては理解していない人も多いだろう。しかし「知ったかぶり」というのは、もちろん避けたいものだ。
本書では、
・鮨屋へ行ったとき
・そばを食べるとき
・てんぷら屋に行くとき
・刺身を食べるとき
食べものの話からはじまる。
最も興味深いのは鮨屋での作法だ。 最近では回転ずしやファミリー向けなど誰でも気軽に入れるタイプの店も多くあるが、昔ながらの鮨屋といえば、敷居が高いと思っている人も多いだろう。なぜなら、カウンターには、常連と思われる人が座り、値段もわからない。慣れない店ではなかなかルールもわかりづらい。
さらに、鮨屋内で交わされる言葉遣いもまた難しい。例えばお茶はアガリ、ご飯はシャリ、お箸はオテモト、醤油はムラサキ。知ってはいても、なんだか気恥ずかしく使えない。しかし著者、池波正太郎氏によれば、それは鮨屋仲間の隠語であってお客が使うことはない。ちゃんとした鮨屋だったら「通」ぶる客を軽蔑する。普通に「お茶」「ご飯」と言えばいいと言う。次回からは、気恥ずかしがることなく「お茶をください」と言うつもりだ。
また、日常においての作法。
・自分を引き締める身だしなみ
・男の顔をいい顔に変える
・時間の貴重さ
・女の見分け方
・気分転換の方法
本書には、数多くの自分をみがく方法があるが、これらはかつて「男の常識」とされていたことばかりだと著者は言う。 しかし、それは当時の常識であり、時代も社会も変わった現代の男たちには、おそらく実行不可能だと言うが、昭和59年の発行以来、昨年で97刷りと本書は、多くの人々に愛されている。それは、現代でも作法を重んじ、自分をみがきたいという人が多いということだろう。