本書は、ディズニーランドを日本に誘致した3名のプロデューサーの物語である。
ディズニーランド経営というのは、総合接客サービスであり、例えば女性に対する購買心理をつかまなければならない。女性が買い物をするとき、ふたつのうち、どちらかにしようか迷うときがある。女性が最後まで迷ったということは、その商品を気に入った証拠である。中には、あちらを買えばよかったと後悔したものもあっただろう。それを買ってプレゼントしたら女性は大喜びするのである。
また、開園当初のディズニーランドの水飲み場は、反対を向いたふたつのノズルが付けられていた。なぜそうするかというと、飲料スタンドまで行かずに水飲み場で水を飲むということは、そのお客様がよほど喉が渇いている証拠であり、カラカラに渇いた喉を水で潤すとき、つまり欠けていた生存欲求が満たされたとき、人間は1番いい表情をします。その1番いい表情を親子で共有できるなんて最高の娯楽である。
このようにディズニーランドの仕事というのはお客様に対する最高のサービスであり、パークのアトラクション1つにしてもお客様の既知の夢の世界を再現させることで「ごっこ遊び」の延長線で造っている。
物語をゼロから理解するという余計なストレスを最小限に抑え、誰もがうなずける既知の「ご存知モノ」にして、そこにオリジナルのクリエイティブを盛り込む。これがディズニーランドのやり方である。本書を読めば、ディズニーに対する見え方が変わってくることでしょう。
新装版「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た日 (講談社+α文庫)
- 作者: 馬場康夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/08/21
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ディズニーランドが日本に来た! 「エンタメ」の夜明け (講談社+α文庫)
- 作者: 馬場康夫
- 出版社/メーカー: 講談社
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