太宰治による友情を描いた短編小説。サクッと小説を読みたい時にオススメな一冊。
話の内容もわかりやすい。
王様に逆らい捕らわれたメロス。妹の結婚式の為に、友人を身代わりにするから外に出して欲しいとお願いする。
王様は3日目の日没までに帰って来なければ、友人を死刑にする条件で解放する。メロスは友人に必ず戻ってくると約束をする。
結婚式を見届けた後に、メロスは友の下へ走る。道中に起こる困難を乗り越え、友人との約束を守るのだった。
子供の頃に読んだ感想は、友達の約束を守るのって大事やな。それくらいの感想しかなかった。
今読み返すと子供の頃には気づかなかった発見がある。それはメロスの心の描写に深く共感できること。
疲れ果てたメロスは、自らに問いかける。自分は精一杯に努めてきた。友を欺くつもりはなかった。もう約束なんてどうでもいい。
しかし、偶然みつけた泉の水を飲み正気に返る。そしてまた力強く走り始めるのでした。もっと恐しく大きなものの為に。
弱気になり自己弁護をしてしまう気持ち、また何かのきっかけで力強く踏み出していく様子に共感できる。
メロスの言葉が染みてくるこの感覚を味わって欲しい。何かに行き詰まった時にサクッと読んでみるのもオススメ。