非連続にの時代に勝ち残るためには、企業にも非連続性が求められる。自然と集まってきた人材の中から自然と成長をしたごくわずかな人間をリーダーに任命する、そのようなALL天然経営では勝ち目はない。リーダーの素養を備える人間を意図的に選抜し、また彼らが現れる温床となる母集団も意図的に作らなければならない。
良質な母集団形成のためには多様性、いわゆる“ダイバーシティ”が必要になる。本書はここの誤解を指摘する、企業に必要な多様性とは“考え方”であり、“属性”ではない。年齢、性別、出身、学歴、言語、、、どれだけ属性としての多様性が担保されていても、考え方が画一的であればこの非連続の時代ではとても危険だ。崖に向かって全員で走っていても、誰も止めようとはしない。今までも道は続いていたからきっとこの先も道は続いている、その連続性を疑うには多様な視点で考えられるだけの母集団が必要なのだ。
リーダーの育成もこれからはそのプロセスに、より“意図”が必要になる。本書は必要なものは公平な評価ではなく公正な評価だとしている。中長期的に組織を導く40歳のリーダーを作るには、30歳から育成プログラムをスタートさせる必要がある。事実、一部の大企業では次世代リーダーの戦略的な育成がすでに始められているという。
本書を読むことで気づかされることは、今後 企業が母集団形成とリーダー育成により注力をする際、今まで以上に選抜がおこなわれるということだ。多様な考え方ができる母集団を構成するには必要ないと判断される者、リスクある成長の機会を敬遠する者は、今後積極的に排除されるだろう。その組織の外に出ることは選択肢の一つだ、今では転職の壁も低く、個人でも充分に活躍できる時代だ。しかし、今の組織のミッションに共感しそこに貢献したいのであれば自分自身で一歩を踏み出す必要がある。社長の席は一つしかないがリーダーの席は無数にあるはずだ、本書を手に取り非連続の時代で勝ち残ろう。