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HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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登場人物の心情の揺れが伝わる作品です。『ビブリア古書堂の事件手帳(全7巻)』著者 三上延(メディアワークス文庫、刊行期間2011年3月25日〜2017年2月25日)

本自体には2種類の物語がある。一つはその本の中身の物語、もう一つはその本自体が人から人へ渡っていく中で重ねられていく物語だ。本書はそれらをテーマに、鎌倉を舞台にしたビブリア古書堂という古書店に関わる人たちの物語で構成されている。

登場する人物は一人一人が秘密を抱えており、物語が進むにつれ解かれていく。まるでページをめくるように事件と登場人物の関連性が明らかになっていくストーリーが心地よい。

ビブリア古書堂の店主 篠川栞子の古書に対する好奇心は、ある種の狂気に近い。普段は人との会話ですらままならないほど大人しい性格だが、ひとたび古書に話が及ぶと、一切の曇りなくその魅力を語り始める。篠川栞子やアルバイトで入った五浦大輔の身の回りには古書好きの人間が集まり、また事件も古書にまつわる。物心が着いた時から古書を愛する篠川栞子は、読書を通して培った知識力、洞察力、分析力を通し、事件に隠された謎を解き明かす。

解き明かされた謎の背景が、丁寧に救われることが本書の魅力だ。人は少なからず事情を抱えている。篠川栞子は洞察力の鋭さから、時には本人の意思には関係なく、謎の背景にある登場人物の事情まで見抜いてしまう。その事情に対しどう向き合うかという心の揺らぎにも、読み進める上ではぜひ注目していただきたい。