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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】経済学とは何か?コンパクトに網羅 - 『経済学と合理性 経済学の真の標準化に向けて』 

本書は経済学史、意思決定理論、行動経済学、実験経済学、ゲーム理論マクロ経済学と経済学全体をコンパクトながらも網羅している。

本書の軸となる「合理性」は「選択肢にきちんとした優先順位を付けられる」ことであり、「ミクロ的基礎付け」とは家計や企業などの経済主体の最適化行動からマクロ経済を分析することと定義されており、理論や仮説、現実の観察やデータを用いた検証などを具体的かつ正確さを損なわないように丁寧に解説されているため経済学入門者である私でも最後まで立ち止まらずに読み進めていくことができた。

本書で私が一番注目したのはゲーム理論、ゲームの表現形式と各プレイヤーが合理的であるという共有知識を持つ事自体を合理性の一形態として解説しているところだ。
なぜならば、共有知識という概念は、知識の公理を満たす知識関数から定義されるため、選好関係上の公理から定義される伝統的な合理性概念とは異なる性質のものだからである。
さらに、利他的選好、質的応答均衡、帰納ゲーム理論まで解説されており、非常に興味深く読み進めることができた。

本書を読了して、コロナ禍での社会の変化、ウクライナ侵攻やパレスチナ紛争による世界経済の大きな変化など、今まで以上に未来への不透明さが増している世界動向の中で、自分たちのビジネスを確立していくためには、このような理論を用いて具体的な数値・データに基づいた意思決定をする重要性を認識することができた。