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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】科学と芸術の交差点:『寺田寅彦語録』にみる深遠な洞察

こんにちは、今回は私が最近読んだ本、『寺田寅彦語録』について書きたいと思います。
寺田 寅彦と初めて出会ったのは、小説『帝都物語』の中でした。彼は幸田 露伴とともに活躍する登場人物として描かれており、その鮮やかなキャラクターに強く引きつけられました。その後、彼が実在の物理学者であり、多くの随筆を残した人物であることを知り、さらに彼の世界に深く引き込まれました。
寺田寅彦語録』は、その寺田寅彦の一連の名文と、「絵画・音楽・俳諧・新聞批判・関東大震災後・科学」についての論等を、同時代の批評と併せて読み解くという内容となっています。
この本を読むと、寺田 寅彦の豊かな感受性と表現力が随所に感じられます。彼の視点は独特で、科学者としての厳密さと、文学者としての感性が見事に結びついています。
特に印象的だったのは、彼が科学と芸術をどのように結びつけて考えていたかという部分です。彼にとって、科学も芸術も人間の感性や知性を刺激するものであり、それらは決して相反するものではなく、むしろ相補的な存在であると感じられました。
また、彼の言葉は時に厳しく、時にユーモラスで、そのバリエーションの豊かさには驚かされます。その一つ一つが、読者の心に深く響くもので、読み終わった後も長くその余韻に浸ることができます。
寺田寅彦語録』は、寺田 寅彦の世界観を深く理解するための一冊と言えるでしょう。彼の視点から見た世界を垣間見ることができ、その深遠な思索に触れることができます。
そして、『帝都物語』の中で描かれる寺田 寅彦と比較することで、フィクションと現実の間で彼がどのように描かれ、解釈されているのかを探ることもできるでしょう。