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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】「次に人がよりどころにするフィクションは一体何か」『まんがでわかるサピエンス全史の読み方』

幸せは虚構(フィクション)の先にある。

人類の繁栄は、人がフィクションを信じることができた(認知革命)ことによると筆者は主張する。
人が信じるフィクションとは、神話や宗教、法律、国家、貨幣などを指す。
これら実体がないものを信じることで高度な分業が可能になり、生きる力において、古代狩猟採集民にはるかに及ばず、サバイバルできない凡庸なモノも子孫を残れるようになったことは、多くの生物種を絶滅に追い込みんがら繁栄してきた人類が手にした成果なのだと筆者はいう。

また、2つ目の革命である農業革命により、狩猟・採集から農耕・牧畜による生活へと変わり、安定した食料と生活を手にしたかに思えるが、それすらもフィクションであり、人類は、小麦、稲、ジャガイモなど一握りの植物の奴隷(まさに「小麦の奴隷」)となったと筆者は言う。

3つめの革命である科学革命もまた、帝国主義(「未知の世界を発見し、征服したいという欲望」)と資本主義(「社会全体の富が増殖するという期待」)という2つのフィクションと融合し、実現したと筆者はいう。

その結果、現代では、消費主義と国家というフィクションが家族やコミュニティーを壊し、個人主義を推奨しているという。

最後に筆者は、結局のところ、「人類は、幸せになったのか?」と問いかける。
フィクションにより繁栄してきた人は、現在ではそのフィクションに縛られ、皆幸せだとは言えないのではないかと。
そこで最後に現代人が共有すべき次のフィクションが求められていると締めくくっている。

巻末に堀江貴文氏×山形浩生氏のスペシャル対談を収録、氏らはもうフィクションにすがる生き方はやめよう!と述べている。

サピエンス全史も読んだが、上下巻でかなりのボリュームなので、なかなか手が出せないという方は、まずはこちらでエッセンスだけでも読んでみて、興味が出たら「サピエンス全史」を読んでみることをおススメします。

今の生活や人生について考える良い機会にもなると思うので、まだ読んだことないという方は、ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

監修:山形浩生
まんが:葉月
発行所:株式会社 宝島社