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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】答えはシンプルに「正直」。『コミュニケーションは正直が9割』

 

著者は、田原総一朗
この人と言えば、私の世代的には「朝まで生テレビ!の人」ということでキマリだろう。
その印象は、歯に衣着せぬ物言いで、スッパスッパと相手に切り込む。物怖じすることもなく、また忖度お構い無し。そんなところだろう。
とにかく、長年ジャーナリストしての地位を保っているのが著者な訳であり、テレビ番組はメディアの力もあるかもしれないからそれはともかくとしても、記事取材などに応じてくれる著名人、知識人、政治家なども数多い。さらには有事に際して政財界から意見を求められることも少なくないのだと言うことは、これまでの活動によって各界の人々と信頼関係を築いてきたからと言うことに尽きる。
と、まぁ、そういう理由から、コミュニケーション術を書けと編集者は著者に持ちかけたのかもしれない。

しかしながら、本書の初っ端で、
「この本は、会話が上手くなるための本ではありません」
と、著者はいきなり言い捨てる。
そもそも自分は不器用、口下手、雑談が苦手で、お天気の話も空々しいと感じるし、上手にお世辞が言えるわけでもないと自らを評するのだ。
そんな著者が、政財官、民間企業の人たち、一般の人たち、犯罪者、左翼、右翼、宗教関係や犯罪者までといった幅広いジャンルの人々とどうしてコミュニケーションが出来てきたのか。
著者は、自分の好きなことを、ただひたすらのめり込んでやってきただけだという。
しかし実際のその秘訣は、物事に取り組むに際しての姿勢にあった様だ。
父方の祖母から叩き込まれた、「人のために尽くせ。そうすれば、自分もうまくいく」という教え。それから「運・純・根」の精神。
「運は自ら切り開いてゆくもの。運を味方につけるには純になりなさい。小賢しいことはするな。要領よく生きるな。純になって、根気よく生きれば運はついてくる」
テクニックではない。正直に向かうしかない。
不器用な著者は、小細工を弄するよりも、徹底的に話し合う、真摯に話し合うことで、立場が違えども深いところで理解し、繋がることができると思ったのだ。
正直に言い過ぎて相手を怒らせることもあるが、最終的には深い信頼関係を築くことができる。
この本は、その様な、コミュニケーションで大切な、人への向き合い方についての著者の考えを、実話を交えて書き表したものだ。

その中で、特に私が面白く、というか、自分の体験からも、「なるほどそうだよね」と感じたことを幾つか述べておこう。
「批判するときは目の前で、褒めるときは陰で」
「他者と関わることで、自分が認識できる様になる。自分探しと言って、他者との関係性をないがしろにして、自分のことばかりばかり見つめても、本当の自分の姿は見えてこない」
「空気を読むことに耐えられない。同調圧力に抵抗し、大勢には安易に従わない。空気に流されるのが気持ち悪い、居心地が悪い。変人と思われて結構」

著者は術として「正直」を選んだのではない。「正直」でいることしかできなかったのだが、それで功を奏してきた。
嘘をつくと段々面倒なことになってくるものだ。気を付けた方が良い。

コミュニケーションは正直が9割
作者:田原総一朗
発売日:2022年3月1日
メディア:単行本