キャッチコピーは、「これが女子のための正しいグラビア!」。
2008年発行なのでずいぶん前の作品だが、
まだ20代の妻夫木聡や松山ケンイチ、森山未來、小栗旬
など、総勢16名の俳優陣の美しい姿を、
写真家・蜷川実花ならではの世界観を通して、堪能できる。
彼女の作品は、花が多用されるのが特徴。
目のくらむようなその色彩の鮮やかさは、被写体となる人物の影を濃く映し出し、中毒性の高い妖艶さを生み出す。
この作品でもその手法は、存分に活きている。
16人の男たちは、白い歯を見せて笑うことなく、
カメラを鋭い目でじっと見つめる。
そのまなざしに、男性ならではの孤独や影を感じ、
思わず釘付けになる。
テレビでよく見かける、スパンコールの衣装を身にまとい、はちきれるような笑顔で歌い踊るアイドルには決して抱かない感情が、生まれる。
私はこの写真集で、丁寧に、男の魅力と向き合った。
実にいい「妄想力の筋トレ」になったと思う。
書生に扮した和服姿の堺雅人。
白衣を着た大泉洋。
2000本ものバラに埋もれる成宮寛貴。
美しい男たちを観察しながら、自分の内面にゆっくり、
時間をかけながら降りていく。その過程で、否が応でも
妄想力はかき立てられ、刺激され。
眠っていたフェチズムが、覚醒する。
おかげで自身が指フェチであったことを、四半世紀ぶりに
思い出した。
「最近ときめかない。」
「女として枯れてない?」
そう思っているなら、この写真集を手に取ることを
お勧めする。
全162ページの妄想の旅。この旅は、あなたを潤わせ、
退屈な日々に恋心を織り込むきっかけとなるかもしれない。