HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】不思議な皮膚感覚の世界『触れることの科学〜なぜ感じるのか どう感じるのか〜』

 

私はマッサージ師なので仕事柄、人の身体を触る機会が多い。しかし触れる事に関して感覚的には考えてきたが、科学的にはあまり考えてこなかったと痛感させられた一冊。著者であるデイヴィッド・J・リンデン氏が神経科学者であり専門的な部分も多いが、医療関係者でなくても理解しやすい内容である。セラピストならお客さんに話せるトリビアなんかも載っている。今回はそのトリビアの一例を取り上げたい。

「鳥が平気でトウガラシを食べるわけ」
哺乳類はトウガラシを食べた時、カプサイシンと熱の両方に反応するが(辛い物を食べたときにホットと比喩するのはこのため)、鳥類はカプサイシンを感じる事がない。だからバードウォッチャーは鳥の餌にトウガラシを振りかける事でリスやアライグマなどの哺乳類に盗み食いされないようにしている。

なぜこのようになったのか?それは進化の過程でその方がお互い都合がよいからだ。哺乳類は種を食べる時、臼歯ですりつぶしてしまいがちだが、鳥には臼歯がなく種子の大半はそのまま消化器官を通り抜ける。結果的に何が起こるか?鳥が糞をする事で種子を播くのである。という事はトウガラシにとって今までとは違う場所に発芽する可能性がある。よってお互いが生き延びやすくする為にこのように進化したようだ。

他にも、指は小さいほど鋭敏、気持ち良いと感じるメカニズム、心の痛みは本当に痛むなど「感じる」ことに関して興味深い内容が詰まった一冊である。少しでもご興味があれば一読をお勧めする。