関西人はせっかち、関東人はプライドが高いなどなど日本においても地域ごとの性格についてはよく話される。正しいかどうかは置いておき盛り上がる話題だ。本書は中国の各省の性格をまとめた本である。
本書の構成は各省ごとに暮らし、性格、いわゆる“あるある”、著名人、名物が順に紹介される。それが、なんとも全く遠慮なく表現されているのが面白い。目次からいくつか引用してみよう。目次ですら各省をこれだけディスる。
山西省:炭鉱地帯の高地に暮らす。ケチで純朴、人見知りで野暮ったい人々。
浙江省:儲かるものならなんにでも手を出す。えげつなさと開拓精神を備えた最強商人。
甘粛省:新しいものに無反応、革新性ゼロ。悠久の歴史の地に暮らす保守の民。
本文ではこんなレベルでなく、各省をいじり倒す。めちゃくちゃ面白い。ところが、そんな著者はダイキン工業(株)にてグローバル戦略本部中国部長、華北地区総代表、北京代表処所長、首席代表。(略)。その後も色々と中国関係で活躍し北九州市立大学大学院特任教授を務めるといった経歴の持ち主であり、中国に関連する書籍を数多く出している。どうやら適当にいじってるだけではなさそうだ。
評者も本書を読み、友人の中国人を何人か思い浮かべて見た。確かに上海人は株について詳しいし、北京人の前で政治の話はしたくないし、東北人は美人だ。確かに当たっている。
我々を含め、多くの人は自分の出身地には特別な思いを持っているだろう。中国出身の方と会うことが日常になって来た今、各省の話題のためにも手元に置いておきたい本だと言える。世界中どこでも地域ごとのあるあるネタは盛り上がる話題の1つだろう。中国人とビジネスをする可能性がある人には必読の一冊である。