どうせ話をするからには、ウケたい。そう思って、面白いこと言おうとしてませんか?実は、ウケるためには、面白い話なんて必要ない。面白いことを言って、相手が笑ってくれたと思っていても、実は無理して笑ってることだってある。ウケるために必要なのは、相手に気持ちよくなってもらうこと。気持ちよく話してもらうことが何よりも大切になってくる。そう、聞く技術、すなわち、相手の話を引き出す技術こそが、ウケるために必要なのだ。
本書では、相手の話を引き出す技術がたくさん紹介されているが、その中でも私が特に注目したのは、話の内容よりも前の部分。相手が話しやすい場を作る、という部分だ。会話には、その内容と同じくらい、時によってはそれ以上に、環境が影響してくる。例えば、お通夜で笑い話をする人や、祝いの席で悲しい話をする人は、あまりいないだろう。相手の面白い話を引き出すためには、その話が出てきやすい場を作ってあげることが最初の一歩なのである。
また、本書では、解説した技術の一つ一つに、会話の具体例が付いてくる。そのため、この具体例を改変すれば、本書を読んでからすぐにでも実践に移すことができるのだ。
自分の話は面白くない、あまり笑ってもらったことがない、と悩んでいる人にはもちろんのこと、何か面白いことを言おうとしてから回ってしまう人、会話の主導権をいつも握れるくらいコミュニケーション能力の高い人にも、ぜひ一度は読んでみてもらいたい一冊である。